水が怖い子に対する水への親しませ方 ー水泳が出来ない子に水泳学習に進んで取り組ませる方法ー

水が怖い子に対する親しませ方 学校教育
親

子どもが水泳ができません。1mも泳ぐことができず、顔をつけるところから練習させているのですが、どうも顔をつけるだけが限界のようです。どのように取り組ませたらよろしいでしょうか。

小松
小松

顔をつけるところまでがんばっているんですね。すごいことですね。ほめてあげてください。水を怖がる人はとても多いのですが、進んで学習に向き合っていることはすごいことですよ。

親

ありがとうございます。でも、やっぱり親心としては、他の子と同じように25mくらいは泳がせたいと思うのですが・・・。

小松
小松

確かにですね。その親心はわかります。ただ、他の子と同じようにというのは子ども達と保護者の方を苦しめるキーワードでもありますので、気をつけましょう。あくまでも子どものペースに合わせて育てるのが子育てですよ。解説しますね。

 

 

今回は、水泳学習が苦手な子に対してどのように学習に参加させれば良いかについて、実践をもとに整理しました。

 

 

体育の学習において、大事なことは運動できない子が、運動が楽しいと思えるような学習にすることです。特に水泳は泳げない子にとっては辛いものです。

 

 

しかし、実際の体育の学習をみると、そのような子たちを無視して学習が進められたり、25mを何の支援もなしに泳がせようとする身の丈に合わない単元が展開されています。

 

 

最終的に、高学年で行き着く先がプールサイドで見学です。

 

 

もっともひどい学習の場合、そのような子達の気持ちを無視して、単元の最後に記録会をして全員で全員の泳ぎを見るなんてところもあります。

 

 

苦手な子の目線でみてみると本当に苦痛の世界です。

 

 

プライドが高い子どもたちがそのようなことを進んで行うなんて考えられません。

 

 

でも、そんな子どもが喜んで学習に参加できるようになるための学習をしていきましょう。

 

 

これまでの固定観念を全て捨てる

 

まずは、泳げなくていいと伝えましょう。私だったら、最初のうちは顔もつけなくていいと伝えます

 

どうしても、大人達は、

 

「子どもをなんとかして泳がせたい。」

 

「泳げないなんて恥ずかしいこと。」

 

と思って子どもたちの小さい心を追い込んでしまいます。

 

まずはそういう固定観念を全て捨てて、子どもの心を救って下さい。

 

 

まずは、そこがスタートです。

 

子どもの実態を把握し、目標を子どもと共有する

 

どうしてプールが苦手になったのかそれとなく探る必要があります。

 

「呼吸ができないから。」

 

「目が開けられないから。」

 

「みんな泳げるのに、私は泳げないから。」

 

「水着姿が嫌だから。」

 

「虫がいていやだから。」

 

事情は様々です。

 

 

最終的なゴールを「誤って水辺に転落したときに、落ち着いて岸まで泳ぎつく力」と設定すると、それ以外のことは排除できます。

 

 

クロールではなく、顔を出した平泳ぎでも良い出すし、水着が恥ずかしいならばラッシュガードを使えば良いのです。体型を気にするのは、男の子も女の子も、低学年も高学年も同じです。

 

25m完璧に泳ぐ必要もないですし、気になる虫は事前に排除しておけば良いのです。

 

大事なのは、体育という楽しく幸せな時間が、何かにこだわることでできなくなってしまわないようにすることです。

 

 

こんな話をしていると、

 

 

「え?先生でも、顔は水にけないといけないでしょう?」

 

 

と子どもは尋ねます。しかし、

 

 

「そんなことはいらないよ。」

 

と言ってあげると本当に助かったようなほっとした表情をします。やはり、他の子と比べられて、辛いことなのだとわかります。

 

 

このように実態を把握し、目標を設定することで、子どもの水泳学習をスタートするときの心理的ハードルは大幅に下がります。

 

 

泳げる子は配慮はいらないのです。泳げない子だからこそ、このような配慮が必要です。

 

 

プールは楽しいと思わせる

 

水遊びは楽しいものです。一方うまくいかないと、ただ口と目を塞がれている状態…、いわば恐怖体験にしかなりません。

 

 

小松
小松

暗闇で窒息すると分かっている穴に入れと言われたらみんな嫌ですよね。

 

それでは、水が苦手な子が楽しくなるよう活動とはどのようなかつどうでしょうか。

 

シャワー

 

苦手な子はシャワーを嫌がります。それは、冷たく、顔がぬれて呼吸ができなくなるからです。

 

 

でも、お風呂には入れますので、にぬるめの湯を洗面器でそっとかけてあげてください。

 

 

あくまでもシャワーは衛生的にきれいな状態にするのと、体を水にならすためにあります。

 

水なれ(入水前)

 

次に水なれです。この水慣れは、全ての子どもにとって大事です。温度差で内臓にダメージがくるからです。

 

  1. 足を水に入れる
  2. 太ももに水をかける
  3. 腕に水をかける
  4. 肩に水をかける
  5. 背中に水をかける
  6. お腹に水をかける

 

 

この時、あまりにも嫌がるようでしたらゴーグルをつけたり、タオルを顔につけて水しぶきが顔に当たらないようにすると良いです。

 

水なれ(入水後)

 

 肩までつかる

 口までつかる

 口までつかり、ぶくぶくをする

 鼻までつかる

 目までつかる

 眉までつかる

 頭のてっぺんまでつかる

 数秒つかる

 浮く

 潜ってじゃんけん

 

とある程度ならべましたが、無理です。

 

 

これはあくまでも例で、苦手な子はここまでできません。良くて口つけるところまででしょう。

 

 

水なれは無理する必要はありません。あくまでも、水なれは水になれることが目的ですから、ある程度で様子を見ながら止めましょう。

 

 

水に浮くもの集め

 

水に浮くもの集めをします。よく100円ショップに売ってある野菜やアヒルなどが良いです。

 

 

初めは、何もなくても良いですが、徐々に時間制限を設けたり、拾う物を「赤いもの」→「緑のもの」と指定したりと条件をつけてしましょう。

 

 

まずは少ない数から。徐々に増やして楽しませると良いですね。

 

水に沈むもの集め(浅い→深い)

 

水に沈むもの集めをします。自分はよく宝探しと言ったりします。

 

 

ゴムボールや、人形、車、宝箱…。

 

 

いろんなものを沈めて試してみてください。実際目の前で指導する子どもを想像して、ワクワクするものが正解です。

 

 

水中散歩

順番は自由でよいのですが、肩まで水につかった状態で散歩をさせましょう。

 

 

水になれることが目的ですので、コーンを使って行き来させたり、2周くらい回ってもよいですね。

 

 

フラフープを各地点に用意して通らせてみるのも面白かったです。

 

 

 その際、監視の先生にご協力いただくか、重しを使って実践すると良いでしょう。

 

 

ビート板複数枚使用

成功実践として、ビート板を複数枚使用して泳がせたことがあります。

 

 

顔に水がかかるのも嫌な子だったのですが、ビート板を3枚つかったら顔を上げた状態で泳ぐことができるようになりました。

 

 

足が後ろに来るのが嫌がっていたのですが、知らぬ間に自身で足を後ろにして、しまいにはバタ足までしていました。

 

 

新しい教材をチェック

 

 

教材屋さんのカタログを見ていると面白い浮き輪や新しいビート板のようなものがたくさん開発されています。

 

 

 畳2畳ほどのビート板や、浮く体験ができるマット。長い棒のようなものなどです。

 

 

 

毎年新しい教材が開発されていますので、毎回違うのを試してみるのも良いですね。

 

 

学校になければ、学校の先生にお願いをして購入を検討してもらうという方法もあります。

 

 

参考までに内田のリンクを貼っておきます。

 

「商品・サービス」→「カタログ」→「小学校総合カタログ」→「索引」→「体育」

 

 

で検索されてください。

内田システム

 

 

 

ホームセンターにも、断熱材などの大型発砲スチロールが売ってありますので、それを工夫して使うのも良いですね。

 

ここまでくると…

 

ここまでくると欲張ってしまい、

 

「もぐる活動を続けた方が呼吸が…。」

 

「浮く活動をした方が泳ぎに…。」

 

と思ってしまいます。

 

 

でも待って下さい。初めに話したように、まずは大人の考えを全て捨てて下さい。子どもの思考がまずは優先です。

 

「プールが楽しい!」

 

「次のプールはまだかな!」

 

なんて声が出てきたら、自分から泳ぎを試してみる姿がみられます。

 

 

元々子どもたちって泳ぎたいんだと思います。

 

 

まとめます。

 

まとめ

 

まとめ

・今子どもにさせたいことをいったん置いておく

 

・水遊びを楽しむところから始める

 

・徐々に親しませて、子どものペースで進める。

 

 

泳げるようになっても人生はあまり変わらないですし、海や池、川に落ちて10m泳いで助かるなんて場面も人生では少ないことでしょう。

 

 

でも、水泳学習を通して劣等感をもってしまったり、完全に水から離れてしまうのには、水難事故が多い日本にいる子どもにとってはリスクになります。

 

 

泳げないのはダメな事ではなく、自然な事。子どもが悪いわけでもなく、大人が悪いわけでもなく、段階を踏めば徐々に答えが出てくるでしょう。

 

 

小松
小松

水泳学習は嫌だという固定観念を捨てさせるところから始めましょう。それでは!

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