退職金
こんにちは。最近気になったのですが、学校の先生の退職金っていくらぐらいもらえるのでしょうか。
こんにちは。真面目に働いて退職まで続けられたら、2000万円ほどもらえます。解説します。
退職金はいくら
退職金は、以下の計算によって出されます。
退職手当 = 退職手当ての基本額 + 退職手当ての調整額
退職手当。いわゆる退職金は、「退職手当の基本額」に「退職手当の調整額」で出されます。
それでは、「退職手当の基本額」はいくらでしょうか。
退職手当の基本額 = 退職時の給料月額 × 支給率
「退職手当ての基本額」は、「退職時の給料月額」×「支給率」で出されます。
つまり、退職金を多くもらうためには、退職時の給料を最大化しておくことと、支給率を最大化しておくことが重要になります。
それでは、給料月額は、どうやって決まるのでしょうか。
退職月額の算出方法
給料月額は、各自自治体によって変わります。
自身の採用されている都道府県について、「○○県 給与 条例」と調べてみると、その自治体に教職員に対する給与がわかります。
教職員の給料は、「●号級の〇級」ときまっています。号級とは、1から4号級までの4段階あります。
基本的に1号級は、「講師」。2号級は、「教諭」。3号級は、「教頭」。4号級は、「校長」。
ほとんどの方が教諭なので、ほとんどの先生は2号級となっている。
東京など都市圏になると6号級まであり、役職に応じて給料の号級が変わってきます。
級は、毎年変動します。
勤務成績が悪かったら、毎年「0」~「1」級が上がっていきますが、良かったら「2」段階かそれ以上に上がっていきます。
最終的に170段階ほどあるので、大きな声では言えませんが、早めに管理職に気に入られて成績を高くつけてもらうのが良いと思われます。
これは、管理職にも反映されますので、若手のころ管理職との関係をおろそかにしていると将来的に差がつくことになります。
支給率
支給率は、勤続年数の長さや、退職の理由によります。地域によって異なりますが、大まかに下記の区分で変わるようです。
勤務期間の長さと調整率(地域によって異なります)
・35年以上は、47か月分
・25年以上は、33か月分
・20年以上は、24か月分
退職理由は、一般的に定年か、早期退職募集による退職が主とされています。
ですが、自己都合で辞めてしまった場合大きく下がります(約20パーセント減)。
また、勤続年数35年未満の方も大きく下がります。4年以下では調整額が支給されないところもあります。
働いている年数に数えられない期間
働いている年数に数えられない除算期間というものがあります。
休職・停職・育児休業など、その期間の半分が在職期間から除かれます。
なお、育児休業のうち、1歳までになるまでの期間の3分の1が勤続期間から除かれます。
例えば、35年勤めて自主退職される方で、1年間休職された方は、
勤続年数「35年→25年(30%減)」
退職理由「定年→自主退職(20%減)」
と調整率が大きく下がってしまうので、気をつけなければなりません。
研修や配属で特定の機関に行かれた方で、退職金をもらわれてない方は、引き続き勤続期間にカウントされますので、是非そのまま引き継がれた方が良いかと思われます。
調整額とは
調整額 = 調整月額の内、その額が多いものを60月分にした額
調整額は、働いている期間を各月に分け、その期間に属していた区分(1~11)に応じて、その金額の多いものから60月分の調整月額を合計した金額です。
区分は役職や勤続年数に応じて異なります。
詳しくは事務の先生に尋ねるか、給与明細の調整額のところをご覧になられてくださいね。
具体的にどれくらいもらえるか
定年まで働いた場合で、給与所得が一般的な号級をもらっているとすると、
35万円(退職前給与) × 47か月分(調整率) + 5万円×60か月(調整額)
=1945万円
約1945万円もらえる計算になりました。約2000万円ですね。地域によって差があるようですので、そちらは以下の資料でご確認ください。
税金について
それでは、実質35年以上勤務して、退職募集にかかれば、良いわけですね。退職金はそのままもらえるのですか。
いいえ。そのままはもらうことはできません。もらうときに発生する税があります。
分離課税とは
普段の所得と別の計算。税負担が軽くなるように設定されている
退職金は分離課税というシステムをとらえています。つまり、普段の所得とは別の税金がかかるということです。
これは、実はかなり退職者にとって有利なシステムで、本来多額のお金が動くときには、同じように税金がかかるのですが、退職金の場合、別にできます。
現年課税とは
住民税は、退職金をもらう年ににまとめて払う
住民税は基本的にその年の所得税の翌年に回収されるものですが、退職金の場合、その年に回収されます。
退職金でカフェや行政書士などの事業をしようとされている方は注意しておきましょう。
どれくらい税を支払うか
課税退職所得額
課税退職所得額=(退職手当て-退職所得控除額)×2分の1
課税退職所得額というのは、税金を計算するときに使われる額のことです。
かけ算のかけられる数だと思われてください。この額が少なければ少ないほど税金が少なくなるということです。
これに、控除という税金で計算されるのを免除される額を引いていきます。
退職所得控除額
勤続年数が20年以下の場合
「40万円 × 勤続年数」(最低80万円)
勤続年数が、20年以下の場合、40万円ずつ控除額が増えていく計算になりますね。
勤続年数が20年を超える場合
800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
20年以下の場合、控除額は40万の倍数ですが、20年を越えると控除額が、70万円ずつ増えていきます。
退職金の申請の仕方
校長を通じて、各採用されている教育委員会に申し込みます。退職の年にたくさん研修がありますので、そちらで確認されてください。
病休時等に申請忘れともなるともったいないですので、詳しくは、配属先の事務長か校長に尋ねてみられてください。
気をつけること
貸付の一括返済
教職の貸付を受けている方は退職所得で一括返済されます。例えば、自動車ローンや住宅ローン。教育資金ローンなどは、退職金から全て天引きされます。なので、退職直前にはそれらのものは確認しておかなければならないでしょう。
退職金は狙われている
退職金はたくさんの業者が狙っています。とくに金融業界や不動産業界は言葉巧みに誘導し、利回りの悪い商品を売りつけてくると考えられます。
一生得をして生きていくどころか、老後の資金を全て失うことになります。
もし自己責任で何かに投資される場合は、必ず資産を分散させて相続対策をとられて行われてください。
ファイナンシャルプランナーや銀行員、不動産屋を名乗る方々には気をつけておいてくださいね。
まとめ
今日は、退職金は、いくらもらえるかでした。
まとめていくと、
・退職金は、満期で2200万円ほどもらえる。
・35年未満で支給率が下がる。
・育休・病休時は、勤続期間の半分になる。
・退職金は、所得税としては分離課税。住民税としては、現年課税。
・所得控除額は20年未満は、年40万ずつ上がる、20以上は70万ずつ上がる。
65歳からは国民年金5万5000円、厚生年金14万7000円もらえますので、そのときまでのつなぎだと思って、焦らず資産形成していきましょう。
なお、退職の決まりは自治体によって違いますし、情報も大きく変わって行っていますので、その都度ご確認いただけると幸いです。
今日は、税金の話ばかりで少し難しかったですね。少しずつ税について学んでいけば、不安等もなくなると思われますので一緒にまなんでいきましょう。それでは。
参考
・国税庁 暮らしの税情報 教職員生涯福祉財団
・教職員支援団体 資料