ADHDの子どもの将来 —学齢期から社会人までー

ADHDの子どもの将来 子育て

 

 
親
 

低学年からたくさんトラブルをしていた子がいたのですが、特別支援の先生からおすすめされて検査を進めていくと、小児科でADHDと診断されたそうです。暴走族のほとんどがこのADHDという話を聞いたことがあってその子どもの将来が非常に心配です。この子の将来はどうなっていくのでしょうか。

 

  

 

こんにちは。確かに、心配ですね。でも、ADHDの子は暴走族になるというのは何も根拠はありませんよ。ADHDの将来で暴走族というというのは大変少数派です。

 

先生
 

少し安心しました。それでは、どんな職業につくのですか。

 

そうですね。子どもたちの将来は本当に様々です。それは、発達障害に関わらず、子供たちの個性をしっかり見つめて子どもと一緒に考えなければいけませんね。少し順を追って説明しますね。

 

大切な教え子たちの将来が気になりますよね。特に発達障害と言われたらどうなるのか心配ですよね。

 

 

私もそうでした。今の教育をしていても、この子の将来には必要のないことだと。

 

 

だからこそ、今のうちに子どもの様子をしっかり見つめて、どんな仕事が合うか、どんな社会人になるかを考えておかないといけませんね。

 

 

解説します。

 

ADHDとは

まず、ADHDとは何の略でしょう。

 

ADHDは次の英語の略称です。 Aは、Attention。 Dは、Deficit。 Hは、Hyperactivity。Dは、Disorderです。

 

“Attention Deficit”で、「注意欠陥」。”Hyperactivity”は、「多動」。”Disorder”は、「障害」。

 

 

合わせて、「注意欠陥・多動性障害」と言います。※中点がある場合とない場合があります。

 

 

多動性や衝動性、不注意を症状の特徴とする発達障害です。

 

 

そもそも、ADHDとはどのような症状でしょう。国立精神・神経医療研究センターでは、次のように述べられています。

 

注意欠如・多動症(ADHD)とは、発達水準からみて不相応に注意を持続させることが困難であったり、序立てて行動することが苦手であったり、落ち着きがない、待てない、行動の抑制が困難であるなどといった特徴が持続的に認められ、そのために日常生活に困難が起こっている状態です。

 

 

12歳以前からこれらの行動特徴があり、学校、家庭、職場などの複数の場面で困難がみられる場合に診断されます。

国立精神・神経医療研究センター

  

全人類に当てはまるようなことでありますが、日常生活に困難が生じる程度に発生している人が、この発達障害に当てはまると考えられています。

  

ADHDの分類

 

まず、ADHDといってもひとくくりにできません。大まかに分けても次のような3つです。

 

 

 1 衝動優勢型 ・・・感情が抑えられない

 

 2 不注意優勢型・・・身の回りに注意を向けられない

 

 3 衝動性・不注意の両方の特質をもつ型 

 

  
 

 

 

主に目立つのは、①の衝動優勢型です。また、今回の相談のケースは、衝動優勢型です。

 

 

衝動優勢型のADHDというのは、自分で自らの欲求をコントロールできず、周りに迷惑をかけてしまうケースです。

  

 

一般的に、この型のケースが一番目立ち、対策をしなければならないと大人がけんめいに対応します。

  

 

2の不注意優勢型は、身の回りの整理整頓ができなかったり、わすれものが多かったりする人です。実は大人になるまで自分がADHDだと気づかない人が多いのはこちらです。

 

 

物事を深く考える力が乏しく、ゴミ屋敷や思慮が足りない発言をする方はこちらに当てはまります。

 

 

また、併発型の人はその両方を兼ね備えています。社会生活はより厳しいものになります。

 

二次障害

 

もっとも恐れているのが、「二次障害」です。国立精神・神経医療研究センターにも同じような記述があります。

 

 

ADHDがあると、日常生活において困難に直面することが多く、そのために自己肯定感が傷つくことも少なくありません。養育者が子育てで悩みを抱えていることもしばしばです。

 

 

また、ADHDの子どもや大人では、うつ病、双極性障害、不安症などの精神疾患を伴っていたり、自閉スペクトラム症、限局性学習症(学習障害)、チック症などの神経発達症(発達障害)を伴っていたりすることもあります。

国立精神・神経医療研究センター

 

 

少し話は飛びましたが、厳しい例だと上記のことも考えられます。

 

 

「二次障害」とは、1つ目の障害(今回はADHD)に重ねて、さらに良くない症状が出てきている状態です。よくある例を3つ挙げます。

 

二次障害の例
  • 自分には人と関わる力がないと自信を失う。
  • 人と関わるとトラブルになると認識し、家からでなくなる。
  • 周りは自分に差別するなどと言い、攻撃的になる。

 

人と関わるとトラブルになるので、人を避けようとします。

 

 

また、自分はそのようなことができないのだと認識し、他人と距離を取ろうとしてしまうことで、さらに、人と関わる力が乏しくなってしまいます。

 

  

さらには、人との関わりで精神的なストレスを抱えてしまい、統合失調症やうつ病などの精神疾患を抱えてしまう場合もあります。 

 

 

 

発達障害があることに罪はありません。でも、本人たちは、周りとうまくいかないこと対して自分を傷つけてしまうことが多いんですね。

 

社会人になるまでの過程

学齢期

 

学齢期(小学校〜中学校)

 

 

学齢期は、小学校に入学段階からADHDと診断される行動がおおよその場合出ます。大なり小なりのトラブルを抱えながら、子どもや保護者の方々と繋がりながら、卒業していくことでしょう。

 

 

中学校では、顧問と合わなかったから学校を辞めた。ゲームの世界にのめり込んだなど、不登校になるケースもあります。

 

 

逆に、成績が飛びぬけて優秀で、教科に偏っては群を抜いて得点をとる子もいます。

 

 

また、選択肢として、特別支援学校に行くという場合もあります。こちらは、手厚く個に応じた支援を丁寧にしていただける反面、集団にもまれる経験の無い子になるというリスクもあります。

 

 

最終的に、ADHDの子は、社会に一般の方と同等な扱いを受けるので賛否は出るところではあります。

 

  

学齢期の支援としては、次のような例が上がっています。

 

 

ADHDの支援は、医療だけで行われるものでははありません。

 

 

家庭や学校では、ADHDの子どもたちの特徴をふまえた援助をしていきます。

 

 

日常生活のなかで、わかりやすく指示を伝える、感情的な叱り方をせず褒め方を工夫する、気が散りにくいように環境を整える、学習の課題を小分けにして、休憩を挟む、といったような工夫が有効です。

 

 

医療における支援では、ADHDの子どもたちの特徴を養育者や学校の先生、支援者に伝え、その子にあった環境を整えるなど、その子に応じた支援が円滑に進むような工夫を進めていきます。

 

 

より効果的な子どもへの接し方を親が学ぶためのプログラム「ペアレント・トレーニング」も有効です。

 

 

これらを通して、ADHDの子どもが、ADHDがあったとしても困難を最小化し、その子らしい伸びやかな育ちが達成できるよう支えていきます。

国立精神・神経医療研究センター

 

 

様々な支援の方法がありますので、過敏な子を刺激しない環境づくりを関係者全員で整えていきたいですね。

 

そもそも過敏な子達に現在の学校は、合わない気もしますが…。

 

高校・大学

 

高校大学は、高い偏差値の学校に行くことがあります。

 

 

また、うまく馴染まず、辞めてしまいフリーターや引きこもりになる場合もあります。

 

 

両極端あると思ってください。

 

 

友達関係や学校生活で知らない間に傷ついていることがあります。周りを味方にするためにも、周りの方への言葉かけを小まめにかけておきましょう。

 

 

社会人

 

就職先ですが、様々です。

 

  

実は、そこまで全く問題がなく、そこから問題になるケースがあります。

 

   ・何度も解雇になって、最終的に引っ越し業・運送業    

   ・フリーター

   ・SE(システムエンジニア)

   ・引きこもり

  

 

衝動優勢型の場合、職場内でけんかになったり、顧客とけんかをしてしまう場合があります。人と丁寧に接する仕事はあまりおすすめできません。

 

 

不注意優勢型の人は、提出物やタスクをこなす力が育っていなければなかなか社会人としての仕事は難しいです。

 

 

しかし、一般の社会では、そのような人は、実は愛されることが多いです。それは、本人の愛嬌もありますし、周りの懐の深さでもあります。

 

そのような人は、しっかり部活などもしていて礼儀には厳しく、あいさつなどもしっかりしていることがあります。

 

 

つまり、愛嬌や礼儀で身の回りのことなどをカバーできるような人になっておけば、社会では通用するということが考えられます。

 

 

偶然知り合った引っ越し屋にADHDの方がいて、社長さんが言うには、うまくいっているとおっしゃっていましたよ。

 

 

国立精神・神経医療研究センターは、次のように述べています。 

 

 

大人の場合には、身辺自立金銭管理家事、子育てなどの家庭生活、仕事や余暇の過ごし方人間関係における困難を抱えていることがあります。

 

 

医師は当事者とともにそれらの困りごとについて考えていくことになりますが、当事者の家族や職場に理解を得て、必要な配慮を行うことが必要なこともあります。

 

国立精神・神経医療研究センター

 

 

身の回りのこと、お金の管理、同僚との人間関係…。やはり心配事は絶えません。

 

 

予め、それらのことを予測して考えさせておくことで、将来の不安を取り除いておきたいですね。

 

 

薬物療法のすすめ

 

ADHDで困っている保護者に対して、最終手段として、薬物療法で症状を緩和できる選択肢があることを知らせてください。

 

 

今は、ADHDの療育の一環で薬を用いるのは当たり前です。

 

 

取返しが付かない事態になる前に、少しずつ用量の少ない薬を用いて、症状を和らげてあげたいです。

 

 

すぐに「薬を飲ませてください。」と言ったら、関係に傷が入るので、ある程度話を聞き、対策がないところまで話した時に、

 

 

「実は、薬を使った対症療法方法がありまして…」

 

 

というように、保護者の方が、望んで手を差し伸べる形ですすめていくのがよいでしょう。

 

 

 

自身に合った薬を試しながら、通常の社会生活に入っていくという形が一番望ましいかもしれません。常に最新情報を手に入れながら、支援していきたいですね。

 

  

 

まとめ

 

今回は、ADHDの子どもが将来どうなるかについてでした。

 

 

結論、他の子と同じでわかりまぜん。

 

 

しかし、その子の興味や特性を生かした職業に就いた方がよいのは、明らかです。

 

 

今、親や先生が将来のことに不安を感じて、慌てるよりも、今その子にできることや伸ばせることを話し合って、3歩先を見つめていけばよいです。 

 

 

本人の希望を聞くのは、わがままなことではないですよ。本人の困りを伝えてくれているというようにとらえ直すと、見方が変わってくるかもしれません。その子の将来が明るくなるように今後も一緒にまなんでいきましょう。それでは。

 

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