「大造じいさんとがん」の指導方法 学習指導要領の目標から学習方法まで

大造じいさんとガン国語

 

親
先生

こんにちは。今日は「大造じいさんとがん」の指導方法について尋ねさせていただきます。「大造じいさんとがん」はどんなことを子どもが学べいいんでしょうか。同じような場面の繰り返しで、このままでは、読んで終わりになってしまいます。

  

 

小松
小松

こんにちは。読んで終わりは、もったいないですね。大造じいさんの心情変化がわかりやすく表れる優れた教材です。しっかり学ばせたいですね。ちなみに教科書はどこの出版社を使っていますか。

  

 

親
先生

そうなんですね。確か、光村図書だったと思います。それが何か関係あるのですか。

  

小松
小松

実は、関係は大いにあります。教科書会社は5年生の後半の教材として「大造じいさんとがん」を取り扱います。しかし、教科書会社によって、前書きの有無、敬体と常体の文末が異なるなど、教科書会社によって全く違う教材になってしまいます。そういうところにも気をつけていかないといけませんね。解説します。

 

 

今回は、「大造じいさんとがん」。文学的文章の指導方法です。国語を研究されている学校では、指導案等で使われる方もいらっしゃる方も多いのではないかと思います。

 

 

実は、私もたくさんの方からご指導をいただいて、教材の解釈を深めてきました。その経験が一人でも多くの方に役に立ったらと思い、記事を書きました。目標から順に説明していきます。

 

文学的教材高学年の目標

 

 

5年生の文学的教材の学習で身に付けなければならないことは、次のように書かれています。

 

目的に応じ,内容や要旨をとらえながら読む能力を身に付けさせるとともに,読書を通して考えを広げたり深めたりしようとする態度を育てる。

小学校学習指導要領「国語科」解説

 

 

目的に応じて内容をとらえるもの。また、見方・考え方を広げたり深めたりする教材です。詳しくはここでは説明しません。

 

目標は、読みを通して、考えを広げたり深めたりすること

 

 

大造じいさんの視点に立って、たかが鳥からがんの英雄へと変わった残雪への見方の変化を考えさせられるとよいでしょう。

 

 

指導事項

 

 

指導事項には以下のように書かれています。

 

 

中学年の「ウ 場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基に想像して読むこと。」を受けて,登場人物の相互関係や心情,場面についての描写をとらえ,優れた叙述について自分の考えをまとめることを示している。

H28小学校学習指導要領「国語科」解説

 

 

ここに大事なことが書かれてあります。それは、「登場人物の相互関係や心情」。物語の中心人物は登場人物の影響で大きく心情が変化します

 

 

中学年までは、「気持ち」の変化を読みとり、高学年では、より高度な「心情」を読みとります。

 

 

先生
 

「気持ち」と「心情」って何か違うのですか。

  

 

若干異なります。「気持ち」は外からの刺激に対して感じる心の動きで、「心情」は、心の中のものとでも言っておきます。大切なものを壊されて怒るのは、「気持ち」。試合に負けたけれど、次は練習して勝ちたいというのが「心情」。良い例ではないですが、そのくらいの違いだと思っておいてください。

 

 

また、心情の変化は場面に現れます。また、その場面の描写や内容が素晴らしいので、それをまとめることが求められています。

 

 

優れた叙述に対しての自身の考えをまとめるのが最終的な目標。

  

 

小松
小松

あくまで中学年の学習内容が入っているという前提です。身に付いていない実態でしたら、学び直しながら進めてていきたいです。

 

 

「登場人物の相互関係や心情,場面についての描写をとらえ」るとは,物語などを読むときの中心となる登場人物について,その相互関係をとらえ,それらに基づいて心情や場面の描写をとらえることである。

中学年までは,一人一人の登場人物の行動や性格に基づき,場面の展開に即して変化する気持ちを中心にとらえていた。

 

 

高学年では,登場人物の相互関係から人物像やその役割をとらえ,そのことによって,内面にある深い心情も合わせてとらえることにつないでいく。

 

 

登場人物の心情,直接的に描写されている場合もあるが,登場人物相互の関係に基づいた行動や会話,情景などを通して暗示的に表現されている場合もある。このような表現の仕方にも注意し,想像を豊かにしながら,読むことが大切になる。

小学校学習指導要領「国語科」解説

 

登場人物の心情は場面に現れます。

  

 

「ごんぎつね」でしたら、細く青いけむりでしたね。

 

 

「一つの花」でしたら、プラットフォームのはじっぽのゴミ捨て場のようなところに咲いている一輪のコスモスです。

 

さらに高学年では、内面にある深い心情まで読解していきますから、一層読みは個人差が出てきます。

 

 

「優れた叙述について自分の考えをまとめる」とは,場面の展開に沿って読みながら,感動やユーモア,安らぎなどを生み出す優れた叙述に着目して自分の考えをまとめることである。

 

 

象徴性や暗示性の高い表現や内容,メッセージや題材を強く意識させる表現や内容などに気付き,それらを評価したり,自分の表現に生かしたり,感想文や解説文などにまとめたりしていくことになる。

 

優れた叙述は,一冊の本や一編の文章だけでは分かりにくいこともある。

 

同じ作者や同じ題材の作品を比べて読むようにして,児童が自分で優れた叙述に気付いていくことができるように工夫することが大切である。

小学校学習指導要領「国語科」解説

すこし重なりますが、叙述についての自分の考えを、何かにまとめることが大事なようですね。

 

言語活動

言語活動例として次のように書かれています。

 

【 本を読んで推薦の文章を書くこと】

 

推薦するためには,自分の目的とともに,相手の目的も考慮し,どのような本を取り上げるのか,また取り上げた本の何を主に推薦するのかなどを決める必要がある。

 

文学的な文章にしろ,説明的な文章にしろ,それぞれの本の特徴をとらえて推薦するようにする。

 

そのために,本をよく読み込み,相手に伝わるような構成や推薦するための言葉などに注意して叙述を整えることが欠かせない

 

推薦する対象となる本の内容や,書き手に関連する本を重ねて読んだり,書き手自身のことについて調べたりすることも大切となる。

 

推薦の方法としては,本の帯や広告カード(ポップ),ポスターや読書郵便,リーフレットやパンフレットなどが考えられる。

 

小学校学習指導要領「国語科」解説

 

目的をもって言語活動をしなければなりません。私は、基本的にリーフレットを作ってお家の方に見せるという取り組みをしていますから、そのような流れになります。

 

目標のまとめ

 

目標を簡単にまとめると次のようになります。

 

・読みを通して、考えを広げたり深めたりする。

 

・優れた叙述に対して自分の考えを体験をもとにまとめる。

 

・リーフレット等に書き表す。

 

 

読みを通して、見方・考え方を広げるとは

 

親
 

目標はなんとなくわかりました。でも、読みを通して見方・考え方を広げるって、どこからどこまですればよろしいですかね。1文1文読みを広げないといけないのでしょうか。

 

 

小松
小松

いえいえ、そこまでする必要は無いですよ。読んでいたら「なんで?」と思うところと、自然と他の人と読みが異なる部分が出てきます。

   

「桃太郎で、主人公は?」と子どもに尋ねると、自然に考えるとほとんどの子は「桃太郎」と答えるでしょう。一方で、「なんで桃太郎は鬼を退治にいったの?」と尋ねると、様々な反応が出ます。

 

 

「鬼が悪さをしていたから。」「おじいさんとおばあさんが命令したから。」「お金がほしかったから。」「有名になりたかったから。」などと様々です。

 

 

また、国語の教科書教材は優秀で、必ず読んでいたらひっかかることがあります。

 

 

「大造じいさんとガン」の場合、最終的に、

 

 

「どうして残雪を打たなかったのか。」

 

 

というところに行き着くでしょう。

 

 

行き着かなかったら、教師側で出して下さい。

 

 

この物語で大きく変わったのは、「ガンを狩る」という目的から、「知恵比べに勝ちたい。」へ変わります。

 

 

最終的に、残雪は「ガンの英雄」へと変化します。山場で残雪への見方が大きく変わったことがわかります。

 

教材について

 

教科書によって違う教材

 

教科書会社は「大造じいさんとがん」を5年生の多くの教科書で採用しています。

 

 

しかし、前書きの有無、敬体と常体の違いなど、大きな差があります。

 

 

前書きの有無で、じいさんの残雪と対峙する年齢がわかったり、他にもしし狩りをするなど生計を立てる上でどれぐらい本気なのかもわかってきます。

 

 

また、敬体より、常体の方が残雪とはやぶさの戦いの勢いが伝わってきます。狙いによって教科書会社を使い分けると良いです。

 

 

また、場面ごとに指導するか、物語全体を教材にするかで判断が迷う教材でもあります。

 

 

子どもの読みの力が弱ければ、前書きと6場面に区切って単元を流すか、全体で子ども達の思考に沿って読ませるかをきっと迷われると思います。

 

 

これは、難しい判断になるので学年の先生と話し合って決められるとよいでしょう。

     

作品の舞台は鹿児島県

 

作品の舞台は、鹿児島県の北部の栗野岳ふもとの沼地。現在は雁狩が禁止されていますので、数十年前と想像できます。

 

作品のあらすじ

 

前書き

 

いのしし狩りに来ていた一行が、大造じいさんと言う猟師を紹介されます。そこで、35・6年前に起きた大造じいさんと雁の話になる。

 

小松
小松

東京書籍などの前書きが無いものは、老年期の60~70代くらいのおじさんが狩りをしているという設定になります。終戦前に専業の狩人とは考えにくいので、退職後の方が趣味でしていると考える方が自然です。

 

この前出しがあるのと、無いのとでどう変わるのか。また、どちらが良いのかを子供たちに話合わせることで、より優れた作品とはどのようなものか考えられます。 

  

 

前書きが無い方が、話が入りやすいんじゃないかな。

 

前書きがあった方が、おじいちゃんの昔ばなしを聞いている気分になるね。

 

あくまでも、優れた作品について考える単元ですから、比べてみて考えるということをして

 

1の場面

栗野岳のふもとの沼地を雁の猟場としていたが、残雪という雁のリーダーが来るようになって一羽も捕れなくなっていた。そこで、タニシにうなぎ釣り針をつけたところ、一羽がとれた。 

 

 

しかし、翌日は針を引き延ばされ、餌だけ取られた罠だけが残っていた。これも、残雪の指示とじいさんはとらえた。

2の場面

  

じいさんは、夏から1俵のタニシを集め、餌場近くに小屋を建てます。しかし、残雪はそれを見破り、ガン一行は引き返す。

 

3の場面(前半)

  

大造じいさんは2年前に捕まえたガンをおとりにして、ガンの群れを操ろうとした。しかし、ハヤブサが接近して、おとりにしようとしていたガンを襲った。そこを残雪がハヤブサに体当たりをして助ける。

 

3の場面(後半)

 

ハヤブサは去りますが、残雪は胸をくれないに染める。第二の敵である大造じいさんが迫ってくるが、最後の力をふりしぼってじいさんをにらみつける。

 

それらの姿を見てじいさんは残雪を撃たなかった。

4の場面

大造じいさんの手当や世話を受け、残雪を逃がす。残雪をガンの英雄とし、正々堂々と戦うことを誓う。

あらすじのまとめなどをされる際に活用されてください。

 

粗筋を読んでいき大事なのが、山場とわかります。山場によって大きく大造じいさんの見方が変わるので、しっかりそこをとらえさせたいですね。

指導の実際 

椋鳩十について

第0次で授業が成功するかどうかが決まります。

つまり、本文を読む前からです。まずは、椋鳩十や作品の世界観について、学ばせましょう。

椋鳩十の顔写真を使い作者の説明をしたり、いろんな作品について軽く述べたりします。先生がウキウキしながら知らせることで子ども達は、

 

なんか楽しそうな話なのかな。

と思います。何にしても同じなのですが、教師の話は大事です。子ども達の意欲をあげるための話をたくさんしてあげましょう。

 

椋鳩十について

椋鳩十作品の良さを先生が知っておかなければ、子ども達は良さはわかりません。逆に良さがわかれば好きなだけ伝えてあげてください。

 

椋鳩十(1905年1月22日~1987年12月27日)は、長野県生まれの元教員・動物文学作家・鹿児島の図書館の館長。本名は久保田彦穂(ひこほ)。

 

法政大学国文科学部卒業後は、一度学校の先生になりますが、ふんどし一つで授業したことを理由に解雇されます。

 

その後、紹介で女子高の国語教師をするがその傍らで作家活動をし、1933年に自費で本を出版。

 

このとき、はじめて「椋鳩十」と名乗ります。

 

以降たくさんの作品を世に出していきます。

ふんどし一丁は破天荒ですね。

背景にある戦争

時代が時代なだけに、軍国主義のようなものが人気がありました。

 

軍国主義に繋がるものしか世に出す事ができないという背景がありました。

 

勇敢さや祖国や仲間思いなどが奨励されていたので、「大造じいさんとガン」は、軍国主義の名残と批判を受け、未だに嫌われているような空気があります。「逃げずに戦え」という感覚は今の時代に合わないのでしょう。

 

子ども達の心を揺さぶる叙述ではあるのですが、きついときには休んだ方が良い今の世の中に合うかどうかはこれからの社会次第です。

 

戦争と重ねたわけではないと椋鳩十は述べています。あくまでも読後感は読み手次第ですね。

猟師

猟師とは、そもそもどんな仕事なのでしょうか。「動物をとらえて売る。」「害獣駆除。」が主な仕事になります。この場合は、動物をとらえて売ろうとしているのだと考えられます。

 

鴨を食べたことがある方は多いと思いますが、鴨は臭みがなく、焼肉にしたらとてもおいしいです。雁も鴨科ですのでおそらくそのようにして食されていたのだと思われます。

 

1971年以降は狩猟が禁じられているため、私たちは口にすることはないでしょうが、昔は天皇一族も好んで食べたという文献があるほどです。

子ども達は、「仲間思いだから撃たなかった」や「かっこいいから撃たなかった」と簡単に撃たない理由をすらすら述べますが、生計がかかっているとなかなか考えにくいものです。

 

なぜなら、生きていくのに必要なお金が手に入るのですから。残雪をとらえることのメリットは、猟師である大造じいさんにとっては大きいものがあります。また、失うものも多いのです。

雁ってそんなに高く売れるんですか。

実はそうとは考えられません。

栗野岳のふもとで猟をしたところで、市場までもっていくのは数羽が限界と考えられます。数羽ですと現在の値段一羽5000円で売れたところで、生計を立てられないでしょう。

 

また、猟銃で撃つくらいですから、血もでるでしょうし、腐敗もその時点から始まります。

 

つまり、猟だけで生計を立てているとは考えられないです。農業と兼業をしているか、何かの仕事を引退して趣味で狩猟をしていると考えるのが妥当でしょう。

大造じいさんの行動は何かスポ―ツをしているような感覚になりますもんね。

現代で言うところのそういうところだと思います。スポーツ好きな方には、しっくりくる作品なのかもしれません。

場所

沼地のイメージ
囲炉裏のイメージ

作品の場は、鹿児島県の栗野岳のふもと。また、大造じいさんの話を聞いているのは、囲炉裏の周りです。

 

初発の交流

初発の感想。子どもたちは、次のような反応をみせます。

 

おとりの雁はどうなったの?

・飼っている間、残雪のエサは何をあげてた

 

など、自由に出てきます。よっぽど鍛えておかないと、「山場でなんで大造じいさんは残雪を撃たなかったのだろう」と出てきません。出たらラッキー程度で、考えておくと良いでしょう。

 

手堅くいきたい方は、

 

「登場人物の行動でおや?っと思ったところはどこですか」といった、初発の感想を書く欄を設けると良いですね。

 

初発を整理して、次のように学習計画を立てます。

 

①わからない語句の意味調べ・設定の確認

 

②大造じいさんの心情と情景描写

   

③山場で変わったものについて

 

進出語句の意味調べ・設定の確認

 

わからない語句を10個くらい整理して調べさせましょう。これは宿題で大丈夫です。

 

設定は、時・場・人の設定を読み取らせます。これは教科書会社によって異なります。

 

余りの枠で、おとりのガンの名前や、残雪をどのように飼っていたかなど、本文を何度読んでもわからないことを想像して書かせます。的外れな初発の感想も大事にすることで、学習が面白くなります。

 

コメントを残すなど触れることが大切です。

 

子ども達が調べることに慣れてきたら、分からない言葉は辞書でひいて直接教科書に書き込ませるようにしましょう。

 

辞書に載っている意味を文章中の意味で考えられないといけません。

 

情景描写

(編集中)

  

じいさんの心情が情景描写となって表しているところがあります。これは、なかなか難しいので、先に文を出して、「じいさんのどんな心情?」と尋ねるとハードルが下がります。

 

山場

海の命を学習させる前に、必ず「山場はどこ?」と尋ねられたら「ここ!」と応えられるようにしたいです。

 

この物語の山場は、3の場面後半でハヤブサと残雪の戦いから、残雪とじいさんが対峙したところまでです。

 

ハヤブサと残雪の戦いで、どうして「勇敢か」がわかるには、ハヤブサと雁の体のつくりを知る必要があります。雁がハヤブサと戦うのは、どれくらい難しいのでしょうか。

 

ハヤブサと雁の比較

ハヤブサ

ハヤブサと雁は同じ鳥ではあるのですが、実は、全く違う種です。

 

ハヤブサは肉食、雁は草食。ハヤブサの唇は尖り、爪はかぎ爪

 

一方、雁は水鳥なので、口先は丸く、足は水かきがついています。こういった状況でも、残雪はハヤブサと真っ向から立ち向かったので、「勇気がある」という表現が出てきます。

 

ハヤブサは肉食の体。雁は水鳥で草食の体。

 

小松
小松

ちなみに雁は、水鳥なのでタニシを食べません。ですから、そもそもタニシばらまき作戦は成功するはずがありません。水かきがあり、わしづかみができないので、肩にも乗れません。子ども達には内密に…。

 

つまり、勝ち目のない相手に果敢に挑んでいったので、勇敢だと言えます。

 

第二の敵に対する態度

ハヤブサと勇敢に戦い、胸をくれないに染めた後、大造じいさんと対峙します。

 

白い羽が飛び散る 胸をくれないに染める

 

この言葉に注目させます。激しい戦いであったということや、残雪が軽傷では済まないことが表れています。先ほどのハヤブサの写真からも、くちばしやかぎ爪で攻撃されると深い傷を負っていることが想像できます。

 

なぜ首をもちあげる?

 

通常の反応だったら、ピーピー騒いで逃げる、ぐったりしたままにしておくなどが考えられます。しかし、残雪はグイッと首を持ち上げて、じいさんをにらみつけます。

 

じいさんにはその様子から頭領としての威厳を感じて、撃つのをやめたのでしょう。

小松
小松

ここが、反戦派の方々にとって気に食わないのでしょう。負けそうだけど命を顧みず最後まで戦うと移るのです。それを価値づけるこの表現は誤解を生んでも仕方ありません。尋常小学校の修身でも、同じような記述があります。でも、生前椋鳩十は、戦争に駆り出す意図はないと断言しています。受け取り方は自由です。

このところが、授業者を苦しめるところです。

 

プライドという言葉や恥ずかしさと言った言葉でまとめていますが、子ども達にしっくり落ちることはないかと思われます。なぜなら、最近の子どもは本当のプライドをしらないからです。

 

プライドは今の時代に合わない?

 

過保護に育てられ、自尊心は高く、忍耐力は低く、我慢を素晴らしいことだと感じない子が多くなってきたと感じます。

 

もちろん、辛いことを我慢して、自傷行為に入るくらいなら、いっそ我慢をせずともたくさんの選択肢がある時代ですので、単に我慢を推奨しているわけではありません。

 

しかし、そのような崇高な使命のために、自身を顧みず、仲間を救う姿のすばらしさを子どもたちは理解はできる子は多いのですが、「軽い」。「すごい。」「かっこいい。」などの言葉は出てくるもののの、大造じいさんの生き方を変えてしまうほどの感動の追体験には至りません。

 

これは、命を失うということの重みを知る機会が減っているからだと思われます。死んでも生き返るロールプレイではなく、たった、一回で、二つとない命だから「重み」があるのですから、じいさんの追体験をしっかりさせたいと思われている方は、なかなか厳しいと察していただくのが賢明です。

 

ですから、この教材を学ばせるときに、全員が同じ考えを述べる必要はないと思われます。

 

わかる子はわかる。わからない子は到底わからないという感覚で、割り切って授業するのが理想的かもしれません。

 

 

失礼かもしれないですが、燕雀安くんぞですね。現代の子の生活にこの感覚は合っていない感じを受けます。

山場で変わった残雪への見方

山場で変わったものは、大造じいさんの残雪への見方です。

 

本文中にも、「たかが鳥」と表現されていたものが、最期の場面では、「がんの英雄」というように表現が変わっています

 

山場で見方がもっとも大きく変わっていることがわかります。

 

それでは、いつ、どのように、なんで変わったのでしょうか。それはいくつかの考え方があります。

 

ハヤブサと戦っていたとき

 

ハヤブサと戦ったとき勇敢と感じたから。また、何も考えずにただ仲間を救うことしか考えていないから。さらに、そのがんは大造じいさんがおとりにつかって、言うならば裏切ったがんだったから。

 

首を持ち上げたとき

 

体がボロボロでも第二の敵に命が果てるまで戦おうとする姿勢を見せたから。きつくても、最後まで戦う精神力の高さに感心した。

 

じいさんが手をのばしたとき

 

自分もしくは雁の威厳を傷つけまいとじたばたしなかったから。鳥ならばすぐに逃げてもおかしくないのに、最後までいさぎの良い姿を見せることでだいぞうじいさんは感動した。

最終的にどれが正解か

撃たなかった理由としては、どれも正解になります。

 

なぜそうなるかというと、個人の体験によって考え方が異なるからです。

 

「仲間を守りたい」「勇気がある」という行為に共感できる子は、おとりの雁を救う場面。

 

「あきらめない心」を大事にしている子は、首を持ち上げる場面。

 

ただし、狙いが定まらず撃てなかったことから、撃たないと決めたことがごちゃごちゃになる子がいます。

 

そんな子としては、黒板上で整理する必要があります。

 

気持ちが段々ステップアップしていったという考えの子もいますが、それも〇にしておきましょう。

 

「うたない」に変わったのは整理が必要

大造じいさんの心情の変化

初めは、撃ちたいと思っていた。

 

しかし、戦いが始まって撃てなくなった。

 

身体が勝手に動き助けていた。

 

私が実践をする上で苦しんだのはここです。

 

撃てないないから、撃たないに変わったところ。これを低学力の子が理解するのは、至難の技でした。

 

大造じいさんは、過去数年で残雪にやられているので、いまいましいと思っています。そこで自然な流れとして、残雪をうちとりたいと思っています。

 

しかし、ハヤブサとの戦いが始まって撃てなくなりました。これは、戦いの描写が多く叙述に載っていることから、命中が定まらないというより、見とれてしまった、または戦いに目が奪われたといった方が良いでしょう。

 

この時読みが弱い子は、命中が定まらず撃てないと解釈します。まずそこからずれていきます。

 

結果がどうなったのか、見に行きましたが、たくましい残雪の姿があり、ただの鳥に対している気がしなくなるわけです。

 

この一連の流れは、さらっと教師がまとめるか、初めから「うちたい」「うてない」「うたない」に変わったのはどうしてかとめあてにして、丁寧に読んでいけるといいですね。

 

補足

場面ごとに追っていく指導例はどうか

子どもの実態においては、場面ごとに心情を追っていくという方法があります。

 

作戦名を考えさせて、残雪への見方を毎場面ごとにまとめていくような形です。4年生や5年生前半にも同じような流し方をしている学級にはおすすめしません。

 

単元が長くて子どもが嫌がりますから。あくまでも、子どもの思考の流れに沿ったものにしていきたいです。

同じことをしていても、学びが深まった年と学びの意欲が減退したときがあります。それを見極めるのはなかなか至難の業です。

「ひきょうなやり方」とは

これはよく、子ども達から出る質問です。

 

4の場面で大造じいさんは、「おうい、ガンの英雄よ。おまえみたいなえらぶつを、おれは、ひきょうなやり方でやっつけたかあないぞ。」と出てきます。

先生、ひきょうなやり方をしないなんて来年からどう戦うのですか。

と言われたら、自分の解釈をつらつらと述べてはいけません。

 

子ども達に考えさせてください。

 

まず、「ひきょう」とは、勇気がなく、物事に正面から取り組もうとしないことと辞書には載っています。

 

正面から戦っていないというところに注目させると良いでしょう。

 

この場合で、卑怯なやり方とは何か。

     ・「ハヤブサと戦っているときに横から銃をうつこと。」

     ・「戦いが終わった後に残雪を捕まえること。」

この2点です。

 

「来年残雪が雁を率いてきても、安心してタニシをまいておくことができるので、今度は何俵かな。」と聞いてみるのも良いかも知れません。

まとめ

 

今回は、「大造じいさんとガン」の指導方法でした。授業をする際に、次のことを最低限抑えておけば、指導内容としては十分です。

  1. 椋鳩十について知る
  2. 進出語句を調べ、初発の感想を交流する
  3. 単元の計画をつくる
  4. 設定(人・時・場)と場面の確認
  5. 情景描写について考える
  6. 山場について考える
  7. 山場で変わったものを話し合う
  8. 自分の考えを共有する

 ※時間外で文法等について学ぶ。

以上です。参考になったら嬉しいです。

まだ完成していませんが、更新したときにまた参考にしていただけるろ嬉しいです。実践を載せるのはなかなか難しいことですね。それでは。

 

タイトルとURLをコピーしました