今年度、学年の子どもを連れてキャンプに行くようになりました。 でも行ったことがないので少し不安です。
なるほどですね。私も初めて行くときは、わくわく半分・不安半分で行き、とても満足のいく活動になったのを覚えています。
そんなに満足のいくような活動になったのですね。是非知りたいので教えてください。
わかりました。実際に学生時代から教員時代まで数えきれないくらい行った経験から伝えていきます。
キャンプに行く目的
そもそもどうしてキャンプに行くのでしょうか。 正直言って、怪我のリスクや業務負担を考えると行く必要は無いような気がするのですが。
まず第一に子どもたちに良い思い出になるということです。目的は他にもたくさんあります。
「◎年生のこの時期にキャンプに行った」という記憶は消えません。具体的に何個かエピソードを覚えておいて、思い出すことができるのはわずかです。
しかし、心が満たされたという体験は決して色あせないものでしょう。キャンプは小学校生活の中でも一番の良い思い出になるでしょう。
学校は、今の時代住宅地の真ん中にあるものが多いです。ですから、普段火も扱えないですし、深い森もないでしょう。見たことのあるおしゃれな植物ばかりで、見たことのある風景ばかりでしょう。キャンプに行けば、様々な動植物に出会えますし、様々な体験をすることができます。
親の手を離れて過ごしていかなければなりません。過保護の家も多く、転ばぬ先の杖を何十本も用意し、これまで安心に包まれているような子たちが親元を離れます。確認して守ってくれる親がいないのです。そういうものと断ち切るのも大事な自立です。
教師の目が完全に行き届くとは考えにくいです。子ども達自身で考えて行動していかなければならない場面が出てきます。
だから、子ども達同士で伝え合ったり、教え合ったりしていかなければいけません。仲間意思式が高まるのは必然です。
リーダーが育ちまます。 全員を全ての話し合いで出すわけにはいかないので、班長を決め、連絡を伝えたり大事なことを決定していきます。
その中で、数人リーダーシップをとれる子が出てきますので、その子が後の学年を率いるリーダーになると考えられます。
キャンプの活動内容
キャンプってどんなことをするのですか。
野外炊飯、キャンプファイヤー、登山など様々です。
キャンプの内容は日数にもよりますが、やる活動はほとんど一緒です。最近は主に、野外調理、キャンプファイヤー、フィールドワークの3本柱のところが多いようです。
私は、2泊3日に慣れているので1泊2日は物足りないのですが、1泊でも十分自然を満喫できます。
昨今のアレルギーや喘息対応のことなどを考えると、1泊2日の方が増えてくることが考えられえます。
私の中では、これが一番ベストです。フィールドワークでいろいろな場所を知りつつ、小枝やどんぐり、栗などを集めて、野外炊飯に使います。
2日目の登山で自然を満喫します。キャンプファイヤーで友情を誓います。
3日目は、そのまま帰しても良いのですが、軽いレクなどをして帰す方が3日目の思い出を作りやすいです。
2日目の疲労が3日目にきますので、軽い活動で良いと思われます。
海の場合もあるのですが、私の場合山が多かったので山でまとめています。時間があるときに海もまとめますね。
野外炊飯
野外炊飯では何を作るのですか。
一番簡単なのは、カレーです。1泊が多くなってきたので、少年自然の家についてすぐにカレーを作るところが多いのでないでしょうか。
ご飯づくり
米は、洗うとき大変なので、皿に全て取り分けたら水を満杯にして、弱火にかけておきましょう。
そうしたらすぐに米は落とせます。火にかける前に、クレンザーを少し水にひたし鍋の周りに付けておきます。
そうしたら、そのこげを新聞紙を丸めてこすり取ればあっという間に焦げはなくなります。 取ってのところまでしっかりぬっておくことをおすすめします。
また、最近では、無洗米での米の提供が増えています。限りある水資源を大切にしたいとのことです。
無洗米は洗う必要が無いので、そのまま吸水させ、火にかけると良いでしょう。水の量は、人差し指第二関節までの量です。
カレー作り
具材を炒めるのは、やけどの危険性が高まるのでなしにしましょう。
煮るカレーで十分おいしいです。火が安定せず火が通らないことがありますので、具材は薄く細かくきることをおすすめします。
水の量は、具材から少し上です。水を入れると具材は浮くものがあるので気をつけてください。
少ないくらいでちょうどよいと知っておくとよいですね。
登山
登山で注意することはありますか。
はい、あります。怪我か何かの事態に対応していると、全員がトイレが我慢できないような事態になりました。そのようなことがないように3点確認してください。
登山はまず、トイレがほとんどありません。男の子ならば問題ないでしょうが、女の子達にとっては致命的です。
トイレが我慢できない子もいますので、2時間以内にトイレに行けない状態は不適切だとしっておきましょう。
事故対応も大変です。怪我、捻挫、遭難など、たくさんのトラブルが考えられます。トラブルがあったときに、車で対応できたらいいのですが、できないところが多いと思います。
また、子どもの実態に応じては、幼児のように泣き出してしまう子もいるかと思います。そんなときにどうするのかを考えておかなければなりません。
当日の天候は、もちろんですが、前5日以内に雨が降っていると要注意です。足下はぬかるみ、滑りやすくなっています。急な斜面や岩場はできるだけ避け、場合によっては、ロープを木に結びつけて上り下りさせていく必要があります。
結び目に必ず教員を付け、子ども達には、軍手をつけさせましょう。
必ず登山直前に下見に行ってくださいね。
フィールドワーク
フィールドワークってなんですか。
各ポイントを回っていって、クイズに答えていくような活動です。それぞれの研修所や少年の家でする活動が違うので、施設側に確認されると良いかと思われます。
まず、目的を確認しましょう。「チームワークを強める。」「自然を楽しむ。」など活動の目的が必要です。あくまでもそのためのフィールドワークだという意識がないと、活動中けんかばかりで終わってしまいます。
意見が分かれても最後には協力していかなければならない、足が遅い人がいたら、遅い人に合わせるなど、チームワークを強めることに力を入れたいです。
5分ずつずらしてスタートします。3分ずつでも良いのですが、3分だと追いついてしまいますので、5分くらいをとってするのが良いです。正順で行くグループと逆順で行くグループがあると活動時間が半分になります。
遭難しそうな箇所に先生たちを配置します。遭難しても学ぶものはあるのですが、やはりそのあとの施設側のことを考えると、遭難箇所にも配置をしておきたいです。
一度木の枝が倒れる方に旅立った子供たちがいて、とんでもないコースに行ったことがありました。やはり次の活動に支障が出ました。
野外活動の基本ですが、どこで遭難発生がするか、どこで時間がかかるか確認しておくことをおすすめします。
キャンプファイヤー
キャンプファイヤーってなぜするでしょうか。キャンドルの方が天候が悪くてもできて安定すると思うのですが。
キャンプファイヤーは大きな炎をみることができ、キャンドルは優しい火をみることができます。活動自体にあまり違いはありません。ただ、キャンプファイヤーは盛り上げることができるのと、暖かいのでそういうメリットもあります。子ども達に選ばせても良いかもしれません。
火には、生物を様々な気持ちにさせる不思議な力があります。わくわくさせたり、穏やかにさせたりとする気持ちは、火を目の前にしなければわかりません。
後の火の神の言葉にありますが、火と人間の文明の進化は、欠かせないものです。火があったからこそ、今の人間があります。
キャンプファイヤーを心に焼き付けることで、一緒にすごした2日間や3日間がいつまでも思い出されます。
あくまで例ですので、いくらでも変更可能です。子ども達は一生に一回の体験なので、変更があったとしても、良い変更ならどんどんした方が良いです。
火の神は、大抵管理職がします。事前にお願いして、狙いと一例を渡しておきましょう。管理職も、教諭もしない場合は、子ども達にさせましょう。短いセリフでまとまるようにすると良いですね。
衣装はシーツでぐるぐる巻きにして、安全ピンで留めて、月桂樹の葉を頭に乗せると雰囲気がでます。ある程度レンタルはできると思います。
いろんな歌を歌いましたが、「燃えろよ燃えろ」は高くて出ません。
行く前の指導
事前指導で大事なことはありますか。
これは口説いようですが、目的を何度も確認することです。何のために行くのか、あらかじめ確認して行くと良いです。その他以下の点も確認してください。
危険を予測できるようにしておくこと。藪の中に突っ込んでしまったら蜂や蛇がいること。
ドタバタ騒いでしまったら、迷惑をかけてしまうこと。
寝る時間になったら寝ること。寝られなくても就寝時刻から起床時刻まで布団から出ない。だれも起こさないこと。
予め予防線を張ることで、守る子どもは多いです。
保健関係の配慮
保健関係で気にしておくことはありますか。。
それは子どもたちの実態によりますね。喘息の子がいたら症状が起きていないか夜中音を聞きに行ったり、夜尿の子がいたら起こしに行ったりしなければなりません。このように実態によって変わります。
それでは、他にどのような配慮する子がいるでしょうか。主に対応した子だけ書きます。
アレルギーの子や宗教上の理由で食べることができないものなど、配慮できるところは徹底的に確認しましょう。
普段の学校では無いので、管理が行き届きにくいです。以前唐揚げではなくて、ソーセージが入っていることがありました。イスラム教の子にとっては地獄ですよね。
夜尿の子を起こすのは、毎年です。
喘息の子は、吸引器をもたされます。
生理対応は、個別に行います。
その他、骨折や怪我等で活動に参加でき無い子がいます。
行った後の指導
帰ってきてからの指導はさすがにないですよね。
やって終わりだけではもったいないので、振り返りだけは確実にさせましょう。
行事の後に、目標に対してどへたくだったのかを考えさせる時間をしっかり設けましょう。
目標に対してできていたら自信につなげていいですし、達成しなかったらどうして達成しなかったのかをしっかり振り返らせるのがポイントです。
少しまずい学年経営をしているとここを怠ってきますが、実は振り返りが大事だと認識していいます。
カメラマンを同行させる
カメラマンさんを毎年同行させますが必要でしょうか。 自分で撮影ならできる気もするのですが。
間違いなく、必要です。 ほとんどがフリーランスの方なので人や業者にもよりますが、良い人がいたら指名してきていただくのがコツです。 打ち合わせをせずとも意思の疎通ができます。
カメラマンさんは、修学旅行やキャンプに何百回も行っています。
ですから、教師よりも施設のことや活動のことに詳しいです。
ですから、いわば教師よりも子どもたちの活動を支援することができます。ですから、1人増えたというより、1.5人増えたという感覚でいても良いかと思われます。
教師が活動に集中できます。教師は子どもたちの活動や子どもたちに集中するべきです。
子ども達の体調の変化や心の浮つきなど教師がしっかり見ておかなければなりません。カメラを撮りながらだとどうしても見逃してしまうものがあります。
写真が良いです。カメラマンさんは、やはりプロです。良いカメラで良い角度で良い被写体をとってくれます。しかも、プロですから撮り漏れが少ないです。また、担任が撮ると、あまり笑顔を見せない子ども達ですが、カメラマンさんが撮ると良いものができます。
最近は、インターネットで注文することがき、大きな写真を廊下に貼っていたずら防止をするということもなくなってきています。便利な時代になりました。電子決済までしてくれると学校ではもうすることがありません。
お金関係のコツ
いろいろと活動が膨らんで、予算がきびしそうなのですが。特にバス代が心配です。
予算については、市町村の予算を利用し、支出をコントロールすることが大切です。
キャンプでお金を使う場面はたくさんあります。例えば、宿泊代・食事代・材料代・バス代です。青少年自然の家は、国立のものが多く、宿泊代は数百円しかかからない場合が多いです。
しかし、食事代、材料代、バス代は多額の費用がかかります。青少年自然の家は山奥にあることが多いので、都心の学校にとっては移動距離が長くバス代も多額の費用がかかってしまいます。
これだけでもたくさんありますね。また、バス代は、インバウンド需要により、年々増加しています。これまでの積み立て金徴収では賄いきれないほどの価格上昇です。
そこで、市町村の予算を利用してほしいと思います。市町村によっては、学校予算の他に社会的活動振興費(?)のような予算が組まれていることが多く、申請すればお金がいただけることが多いです。
私は赴任した学校で申請し、全て通ってきました。そこで、材料費とバス代、学生ボランティアの交通費や食費は出してもらっていました。子ども達が実質払っていたのは、自分たちが出す食費だけです。
キャンプに行った時の失敗
何かほかに気にしたことがいいことはありますか。
そうですね。強いて言うならば、完璧を求めないことだと思われます。
若いときに失敗してしまったこととして、キャンプに行く前にがつがつ指導してしまったこととスケジュールを詰めすぎたことがあげられます。
キャンプの歌をしっかり歌わないといけないと何度も練習したり、キャンドルの集いを完璧にこなすために必要以上に練習を重ね、子ども達が顔が暗くなるののがわかりました。
学校の先生は完璧を求めますから、私のような人は少なくないと思います。司会や、キャンプファイヤーの練習をするのであれば、3回くらいにまとめて、ある程度言えるようになったらそれでよいというくらいがちょうどよいと考えるようになりました。
また、これは少し前のスケジュールなのですが、3日間あったら、1日目に登山、2日目にレクレーション(雨のため)、3日目にフィールドワークをしました。当然ですが、体力の無い子ども達は顔面蒼白で、歩けなくなりました。
過酷体験の必要性が叫ばれていた時代でしたが、あまりおすすめはできませんでした。登山をするのであれば、2日目で、3日目は何も活動を入れないことをおすすめします。無理をしたら重大事故につながりかねません。
まとめ
長くなりました。簡単にまとめます。
以上です。
子どもたちにとって、学びの深いものになると良いですね。それでは。