4月の下旬にある家庭訪問が不安です。家庭訪問は何をすればよいのか。また、家庭訪問でトラブルが起こらないようにするにはどうすれば良いか教えてください。
はい、それでは、家庭訪問の目的と、気を付けた方が良いことをまとめてみますね。
今回は家庭訪問で気をつけるべきことについてです。慣れていない間は緊張しますよね。
毎年あるのですぐに慣れますが、その1回で保護者の関係が崩れてしまうこともあります。
一方、正しく家庭訪問を行えば、その1回の家庭訪問で学級の子どもとの関係をつくることができたり、保護者からの信頼を得たりすることができます。
今回は、年の初めから良好な関係を築けるように、家庭訪問の目的と、注意することをまとめました。
- 家庭訪問の目的
- 家庭訪問の方法
- 家庭訪問で気をつけるべきこと
- 子どもに家や家のルートを描いてもらっておく
- 児童一人一人に対して訪問の観点を決めておく
- 慣れていない土地は下見が必要
- 前担任の情報が必要
- 子どもの長所を保護者に伝える
- 短所を伝える場合は回りくどく 専門用語を使わない
- 家庭生活について不要な質問は慎む
- 訪問時間は1家庭7分程度。かたよりがないようにする
- 親や児童の前でメモをとらない・相づちは「はい」
- 同僚職員や他の児童等の悪口に関する話題はさける
- 共通理解を図る必要がある事項については報告
- 子どもを自動車に乗せない
- 勤務時間内に終わるようにする
- 訪問スケジュール表を必ず教頭へ提出して、訪問を行う
- 着眼点を意識する
- お菓子等はいただかない
- 遅れた時は、学校から電話してもらう
- 家庭訪問で訪問宅の物を壊したらすぐに謝罪、報告
- 家庭訪問ではなく、個人懇談にするのはどうか
- まとめ
家庭訪問の目的
まずは、目的を確認しましょう。
1.家での子どもの様子・雰囲気・家庭環境等を知る。
2.保護者と担任が話すことで、親近感が増し、関係性を築く。
3.教育の方針を意見交換し、方向性を定めることができる。
子どもの情報を知ることと、保護者と関係を築くための家庭訪問ですね。詳しく書いていきます。
家での子どもの様子・雰囲気・家庭環境がわかる
子どもの家での様子がわかります。学校ではすごく良い子でも、家では兄弟姉妹をいじめている子や、学校ではやんちゃでも、家ではすごく良い子がいます。
家での様子がわかると、「家に連絡する」と言ったときの子どもの反応が変わります。
その一言だけで、一年間おとなしくなる子がいるくらいです。
また、学校で良好ですが、家では荒れている子は学校で過度なストレスがかかっていることがわかります。
状況に応じて子ども達への学校での教育を変えていかなければなりません。
家での雰囲気も大事です。温かい雰囲気。冷たい雰囲気。雑な感じ。おしゃれな感じ。風流な感じなど、雰囲気をつかんでおけば、電話応対や提出物の声かけなどの仕方も変わってきます。
言葉にならない雰囲気のようなものは意外と大事です。
家庭環境が、アパートなのか、マンションなのか、お金に困っているのかいないのか、家庭環境によって、支援の仕方が変わってきたり、市の協力を得たりすることができます。
あらかじめ家庭全体を支援する必要のあるところは知っておく必要があります。
そのほかにも、近くの家の友達や、登校中に登校を渋った時にどこで時間をつぶしていそうかを想定できるのは大きいです。
あくまでも、1年間付き合っていく子どもと親をよく知るためには、家庭を知るのは必要なことです。
保護者と担任が話すことで、親近感が増す
保護者は、担任に対して遠慮しがちです。しかし、家庭訪問のときは担任と個別で会話をすることができます。
多くの保護者の方は、担任の先生と良い関係を築いていきたいと考えていますし、仲良くなりたいと思っています。
そのためにも、子どものことで一緒に笑い合えて親近感をもてるこの時間は貴重な時間になると考えられます。
会話時間はわずかに限られています。ほんの短い時間でも少しの笑いがあることが理想的ですね。
よく4月初めに、クレームに近い質問がくることがあります。
これは、相手のことをよくわかっていない保護者が、連絡しやすい方法でクレームを言うということです。
しかし、会っている回数が多くなるとその数は減っていきます。
何回も顔を合わせることで、親近感が増し、信頼をするという心理学の実験は間違いないようです。
教育の方針を意見交換し、方向性を定めることができる。
家庭の教育方針と学校の教育方針、親の想いと、教師の思いがあります。これらは似ているようで、ちがうことが多いです。
子どものためを想っているのは変わらないのですが、強く指導した方が良いと考えている方や、自主性が大事といって何も指導しない方など、挙げていったら切りがないほどです。
それらを前もって聞いて、学校側が調整することはできます。
いろんな家庭をみてきましたが、一番多いのは、担任の先生にお任せしますというものです。
のびのびできていればそれでいいというのが9割です。
しかし、それは担任に放任し、自分ではトラブルが起こるまで何も動かないという表れでもあります。
普段何もしませんが、友達同士の喧嘩になったときには、自分の子どもの声をのみをそのまま聴き、あげたこぶしを下げられない状態になります。
学級通信などで、事前に啓発し保護者教育をしていく必要があります。
独特の考えをつくらせないためにも、学級通信による啓発は大事です。
家庭訪問の方法
・計画表を配る。
・家に伺う。
・自宅にあがる。
・5分間くらい会話する。
・次の自宅に向かう。
学校の形式に従って、日程表を組みましょう。兄弟姉妹関係で日程のずれがないように、兄弟姉妹がいる学級と調整して下さい。
家庭訪問をするときは、少し笑いをとって5分程度で話を終わり、次に行きましょう。話し始めたらキリがありません。
時間に余裕がある場合は、しっかり話し込んでも良いです。これからの関係を築く上では得しかありません。
お土産は丁寧にお断りして、次の家へ向かいましょう。
お土産はもらってはいけません。予め、通信等で伝えておくと良いでしょう。
会話の内容
これは自身の経験によるものですので、人によってやり方は違うかも知れません。あくまでも参考までに…。
初めのあいさつ
・改めまして本年度、〇年〇組の担任となりました●●です。よろしくお願いします。
・先日は、◆◆の件、お手数をおかけしました。
・先日は、◆◆の件、ありがとうございました。
単純なあいさつですが、やはり社会人としての礼儀です。
良いイメージで始められるように、軽い笑顔で、相手の目を見て、新年度のあいさつをしましょう。
保護者は、担任の名前と学級組を知らないことがあります。学級と名前は言いましょう。
「先日は、◆◆の件、ありがとうございました。」
4月の中旬~下旬に家庭訪問がありますが、それまでにPTA関係やトラブル等で、すでにやり取りがあっている家庭があります。
その方々には、「先日やりとりしたのはこの先生なんだな」と意識付けを行っておくと、後のやり取りが丁寧になる家庭が多いです。
丁寧なやりとりをするだけで、多くの人は丁寧になります。「ご丁寧にいつもありがとうございます」という気持ちを示し続けましょう。
学校の様子を軽く話す
①○○さんは、とても明るいお子さんですね。毎日、朝来たら気持ちの良いあいさつをしてくれます。
②学習中は、よくノートをとり、算数のときは発表をしています。
③友達との関係は良さそうですね。いつも▽▽さんと一緒にいて、休み時間はドッジボールなどをして遊んでいます。
④持ってくるものなどもそろっていて、学習用具はきちんと整理できています。
学校での子どもの様子を伝えましょう。まず初めに家庭に質問すると、会話が詰まってしまいます。
軽く学校での様子をほめることで、相手は比較的気持ちよく話をしてくれます。
①子どもの性格面でのよいところを一言で表す
「リーダーシップのあるお子さんですね。」
「賢いお子さんですね。●年生の復習問題をさせてみたのですが、すらすらといて見事に満点でした。」
「よく人の話を聴いているお子さんですね。指示された内容がしっかり頭に入っていて、聴いて実行するまでがとても早いです。」
性格面や行動面で良いところを一言で表して伝えましょう。
ほめることベースで話していくと向こうは、聴く耳をもちます。
課題ベースで話すと、残念ながら、その時点で1年間の関係に溝ができたままになります。
物静かな子の保護者はよく心配されるので、表現の仕方を気を付けなければなりません。
休み時間にずっと一人で本を読んでいる子は、親は「友達ができないのかしら。」と心配になります。
そこで、3番目の例のように「よく話を聴くこと」や、「賢いこと」などで話をしてみましょう。
うそをつく必要は無いので、聴かれたら一人で読書をしていることを伝えてもよいですが、係活動や委員会活動などで友達と接している姿を話すことや、これから友達をくっつけていく方針を伝えておくことは忘れないでください。
②学習面でのよいところ
学習面での良いところを伝えましょう。準備や学習中、学習内容など、簡単にわかるように伝えましょう。
課題がいっぱいある子がいると思いますが、全て伝えると相手は嫌な気分になり、離せなくなるので、少しニュアンスを変えて伝えららえると良いですね。
例) 字を覚えられない⇒字を覚えるのが苦手。新しい字を生み出すのが得意
③友達関係の生活面でのよいところ
親が一番心配なのは、自分の子がいじめにあっていないか、いじめていないか。また、友達と仲良くやっているかが気になるものです。
どんな友達とどんな遊びをしているかを確認し、伝えておくことをおすすめします。
家での様子を尋ねる
ご自宅ではどのような様子ですか。
この一言で大丈夫です。
「家ではだらだらしています。」「家でも家事を手伝ってくれています。」など家庭の様子を話されます。
後は、気になったことを質問して、話しやすくすると良いでしょう。
「普通です。」と言ったようにそっけないような態度をとられる保護者もいらっしゃいます。
その方は、自分の目線からみて、いつもと変わらないので「普通」という表現になります。つまり、客観的にどんな様子か考え、表現することができない方です。
そのようなときは、①家庭学習の様子、②家事をどれぐらいできるか、③家で何をして過ごしているかについて質問してみると良いです。
あくまでも、教育機関の一職員ですので、込み入った話はさけましょう。
ある程度話して、笑いがすこし取れたら次に進んでください。
学校の要望を尋ねる
何か学校にご意見やご要望はありますか。
学校への要望を尋ねましょう。あくまでも、学校の顔として担任は、保護者と接します。
昨年度までのPTAのことや、兄弟関係でその学年の行事に不満や心配をされている方がいらっしゃいます。
そこで、しっかり話を聞いて、対応することでより信頼感を得ることができます。また、不満や心配事を取り除けば、その方以降に同じ心配をされる方は減ります。
しっかり聞いて、学校全体で解決できることは解決していきましょう。
終わりのあいさつ
何かありましたらいつでもご連絡ください。本日はありがとうございました。
「何かありましたらいつでもご連絡ください。」
この言葉があると、保護者の方は安心されます。あくまでも、関係づくりが目的でもあるので、この言葉は入れておきたいですね。
「ありがとうございました。」
保護者の方の多くは、仕事に休みをもらって、たった数分のために時間をとっています。そのための感謝の気持ちは忘れずにいたいですね。
家庭訪問で気をつけるべきこと
子どもに家や家のルートを描いてもらっておく
私は、子どもたちに、家の特徴とルートといつも行き帰りしている友達を紙に書かせていました。
屋根やかべの色、玄関に何があるか、家の隣に何があるか。親の地図がわかりにくかった場合に活躍します。
また、ルートや、一緒に行き帰りする子を知ることは休みの日の連絡物を渡したり、家庭訪問の会話の時などに使えます。
前担任からいかにたくさん情報を引き出すかがカギです。お菓子を渡して離させましょう。
地図で確認しようと思っていたのに、新しく家が建っているため、その地番がないことがあります。様々な情報網から、家を特定できるようにしておきましょう。
児童一人一人に対して訪問の観点を決めておく
友だち関係、学習の様子、健康状況、手伝い等を知るなど、訪問の観点をきめていきましょう。
また、何もない状態では向こうも話しにくいので、学校での子どもの様子を話題にしながら、家庭の様子を聞くと良いです。
例)
宿題をよく出さない子 → どこでどのように学習をしているか。
学校を休みがちな子は → どのような生活をしているか。
中学年までは、近所の子ども達と遊びますが、高学年になってくると活動範囲が広がり、人間関係が変わってきます。
その変化も子どもを知るうえで重要ですので、しっかり把握しましょう。
最近は、不登校児童の通信・ゲーム環境を確認することも必要です。Wi-Fiとゲーム機があるだけで、YouTubeとゲーム漬けになります。それを放任している親が多いので、頭痛などの体調不良やキレ易い子が育っているという説もあります。
慣れていない土地は下見が必要
異動1年目や初任者の場合、必ず下見をしておくと良いです。
車で行けるかどうか、駐車はできるか、どのルートが最適か。4月始まったらすぐに回ってみられるといいですね。最近は二世帯住宅などもありますので、入口も確認しておく必要があります。
最近はグーグルマップでどこかが分かるようになりましたが、わからにくい家も多いものです。当日、住所が途中までしか書いていなかったことに気づいたなどは気を付けたいですね。
家が、一時的に○○さんの家の倉庫という場所もありました。いずれにしても、事前の下見をしっかりしておくことが無難でしょう。
前担任の情報が必要
前担任からの情報は重要です。家の住所・家族構成や家族関係、家の雰囲気や家の所在地などあらゆる情報を聞くことができます。
前担任が異動でいなくても、兄弟関係で情報を聞けるときがあります。
前担任からなんでも引き継げるように、お菓子などを渡しておきましょう。
子どもの長所を保護者に伝える
何度も同じことを伝えるようですが、長所が伝わらないと家庭訪問の意味が無くなります。
4月にあるので、まずは、保護者と子供との関係を築くことが優先です。長所だけを伝え、1年間関係を続けられるようにしておきましょう。
短所から伝えると、後の長所が保護者の耳に入らないことがあります。順番を間違えないようにしましょう。
あなたのお子さんは、そうじしません。宿題しません。しっかり話しておいてくださいと初対面の人に言われても、腹が立つだけですよね。家庭訪問は、そのような教育的意味ではなく、あくまでも関係作りのために行われます。
短所を伝える場合は回りくどく 専門用語を使わない
子どもの短所を話題にする場合は、直接的に言ってしまうとトラブルになることがあります。少し回りくどく、言葉を変えて伝えるとトラブルを回避できます。
間違った漢字を書く → 新しく作られた漢字を書くのがお好きですね
よくケンカをする → 元気の良い
上記のように、少し表現を回りくどくすることで、直接的なトラブルは回避できます。相手は、微笑みという仮面をかぶっていますが、内心どう思っているかはわかりません。
また、気になる児童のことを伝えるとき、LD・ADHD・HSCなどの専門用語という言葉を言わないこと。
前担任によく聞いて、情報(前担任が、保護者にどんなことをどこまで知らせているのか等)を収集したうえで話をするかしないか決めた方が良いです。
明らかに、多動傾向で発達障害をもつ子や、グレーゾーンに入る子がいるのは、担任をしている方ならすぐにわかります。
しかし、それをそのまま親に伝えたら極端に不安定になってしまいます。そのあとどのような行動をとるでしょうか。次のような行動をとることが考えられます。
- 新しい担任の先生から、ADHDと言われた。
- ADHDという言葉をインターネットで検索し、調べる
- 保護者の親や友達に相談する
- 一度整理して、管理職や担任にもう一度相談する…
まず、自分で検索し、話しやすい人に相談するでしょう。その後、家族で話して学校に相談が戻ってくると考えられます。
そのときには、いろんな知識を得ていますので、何か学校は違うことを言っているのではないかと不審に思ってしまいます。発達障害というのは、あくまでもくくりであって、一人一人その状態はちがうので、普通であることを認めたい親は、なんとしても「ちがう!」と言い切りたいのです。
だから、軽い言葉で○○ですと伝えるのではなく、まずは、保護者との関係をつくって、時間をかけて、子どものために事実と支援策を伝えないといけません。
専門用語を家庭訪問で使うのはやめましょう。
家庭生活について不要な質問は慎む
不要な質問しないようにしましょう。例えば、相手の仕事の話、夫婦関係の話、家の状況に関する話などです。
関係ができてきたら、自然と話してくれることは話してくれますので、焦る必要はありません。
しかし、前担任や子どもから聞いた情報を基に、何も考えずに聞いてしまうのは関係を崩してしまうので危険です。
まずは、親と子供と関係をつくることに尽力しましょう。
- 訪問先の仕事の話
- 夫婦関係の話
- 家の経済・生活状況
- 独特な家庭教育方針
- 宗教関係
訪問時間は1家庭7分程度。かたよりがないようにする
家庭訪問は基本的に、7分ぐらいが良いでしょう。
まずは、子どもの過程での様子を聴き、家庭の教育方針や、学校で配慮してもらいたいことを聞きましょう。
それだけを尋ねるのは5分間くらいで終わりますが、あと2分くらいは少し学校の様子を話して笑いをとるなどして雰囲気を和ませると良いですね。
親や児童の前でメモをとらない・相づちは「はい」
これは、人間関係をつくりたいときのスキルになりますが、聞いている内容を記憶するよりも、聞いている雰囲気の方が大事です。話している相手の目をみて、うなずきながら聞きましょう。
このとき、子どもの話を聴くときと同様に「うんうん。」と相づちをうつ方がいますが、気になる方は気になるようです。社会人は相づちは「はい。」と受け応えるのが当然と指導されます。
基本的には「はい。」。仲良くなってきた方には「うん。」と使って柔らかみを出すのが良いかも知れません。
同僚職員や他の児童等の悪口に関する話題はさける
よくあるのが、前担任の悪口や、問題行動を起こす子供の愚痴を言い、共感を求められます。これは、場合にもよるのですが、基本的に受け流す方が良いです。
受け流す方法は様々あるのですが、避難したい思いには共感せずに、大変だったことには共感できると思います。軽く「そうだったんですね。大変でしたね。ところで…」のように軽く話をそらすことをおすすめします。
共通理解を図る必要がある事項については報告
保護者の中で、「学校を○○してほしい」という案が出てくる場合があります。それに対しては、そこで回答せず、「後日学校で話し合います。」と伝えましょう。
間違っても、その場で「わかりました。前向きに検討します。」などの肯定的な返事をして、誤解を生むようなことはやめましょう。
子どもを自動車に乗せない
途中で出会った子どもに、道案内をさせようと、車に子どもを乗せる先生がいます。これは、事故が起こった時に責任がとれませんので、絶対にしてはいけません。
出会った子どもに道案内をしてもらう場合は、車に乗せずに聞きましょう。
また、その際に子どもが間違っても子どもに責任はありません。子どもは突然のことなので、一生懸命教えますが、間違って教えてくる場合が多いです。
必ず、自分の責任で訪問先の情報は集めましょう。
勤務時間内に終わるようにする
これは、若手の先生によくあることですが、勤務時間を越えてまで家庭訪問を続ける人がいます。これは、ベテランの先生など子育てをされている先生には厳しいものです。
「あの先生は時間外でもがんばってくれるのに、あの先生はがんばってくれない。」
という声が保護者から聞こえないようにしたいですね。
訪問スケジュール表を必ず教頭へ提出して、訪問を行う
時々、学校の方へ訪問の日時についての問い合わせがあります。
大きく訪問時刻がずれこみそうな場合は、学校(教頭)へ、その旨知らせておきましょう。
後は教頭が上手に対応すると考えられます。
着眼点を意識する
最近は、子どもの机や部屋を見るなんてことはしなくなりました。なんとなく、家の位置や家の中の様子がわかれば良いかと思われますが、他にもわかることがたくさんあります。
あくまでも、参考になる程度です。完全にその傾向があるわけではないので、鵜呑みにはされないでください。また、不愉快な思いをされた方は申し訳ありません。
見るところ | わかること | ポイント | 対応 |
家の場所 | 交友関係 | 近所の友達。遊ぶ場所。 | 近所だから仲が良い。近所なのに遊ばないという交友関係をつかむ。 |
家の種類 | 経済状況・家庭環境 | 一軒家。持ち家。アパート。二世帯。 | 祖父母の有無。専業主婦などがいる場合は家庭教育は手厚い。十分な協力が見込める。 |
玄関や部屋が整理されている | 家族の性格 | 几帳面 | 一般的な方。協力的。 |
玄関や部屋が散らかっている | 家族の性格 | 雑多→おおざっぱ。 | 攻撃的な方が多い。がんばっているところ認めると協力的になる。 |
茶等を出す | 家族の性格 | 接客の教養がある。 | 基礎教養がある。 |
茶等が無い | 家族の性格 | 接客の教養がない 独特な教育観がある | 社会経験が不足している。 暗黙の了解などは伝えないとわからない。 相手の話をよく聞いて、理解しなければならない |
家庭訪問中に電話や掃除を始める | 家族の性格 | 計画性が無い | 支払い・提出物等が出にくい。 突然、攻撃的になる。 |
腕を組んで話す | 家族の性格 | 客観性が無い 不安が強い | 教師や若年者を下に見ている傾向がある。 下手に出る必要がある 相手の目を見て、相槌を打ち、メモをとる |
独特な教育理論をとにかく話す | 家族の性格 | こだわりがある | とにかく話を聴く。 ことあるごとに小まめに連絡をすると良い。 根回し次第で協力者になる |
全ての人を相手にしなければなりませんので、様々な方がいらっしゃると思われて下さい。学校は、親を教育する機関ではありませんので、出会ったときに指導をするなんて危険なことはやめておきましょう。
家庭訪問をしたときに「おや?」と思った家庭に注意を払い、後は目の前の子どもに集中すれば何事もなく過ごせます。
お菓子等はいただかない
基本的に公務員は物を頂いてはいけません。大袈裟ですが、場合や程度によっては刑法197条の収賄罪にあたる場合が出てきます。また、工事関係者や親戚などからももらうことは禁止されています。
社会的にお茶菓子を出せない方がいらっしゃいますので、不平等になるからです。また、公務員は接待を受けてはいけません。話し合いに必要な飲みもの等は認められますが、家庭訪問は、数分間ですので必要もないでしょう。
営業上手な方は、菓子折りを「これは試供品です。」などと言って渡してきますが、もちろんそれも同じです。
以前は確かに野菜や菓子折り、ケーキなど何かをたくさんもらっていました。しかし、このご時世です。何をどう言われるかはわかりません。断る勇気をもちましょう。断るのが苦手な方は、学級通信でお知らせしてください。
「疲れているでしょうから、お母様(お父様)が召し上がられてください。」と言って、逆に召し上がってもらってください。もらったもらわれなかったの連絡は常に保護者のグループ連絡で回っていると考えていいでしょう。
遅れた時は、学校から電話してもらう
トラブルがあったら、学校の本部に電話連絡をしてもらう。
もし、話が長くなったり、家が分からなくてたどりつかない場合は、学校に電話してもらいます。
個人の携帯から、その家庭に電話するのは絶対にいけません。番号を知られてしまうと、いつでも電話が来るようになり、また、個人情報を知られることにより、SNSなどの情報まで知られてしまう可能性があります。
若手で焦ってしまって、家庭に電話し、そこから毎日のようにクレームが来るようになった先生がいます。ベテランで敢えて信頼関係を築くために教える方もいます。
無難に過ごすためには、番号を知らせないということが大事でしょう。
家庭訪問で訪問宅の物を壊したらすぐに謝罪、報告
万が一、訪問先のものを壊したら、すぐに訪問先に謝罪し、全額を負担する旨伝えましょう。それが、訪問先のミスであったとしても、今後のことを考えたら、そうした方が良いです。
次に、管理職に報告し、学校の保険で対応できるか確認しましょう。保険が有効な場合があります。しかしほとんど保険適用外なので、自身の保険で対応もしくは、実費払いをしてください。
私は大量に家のものを壊してきましたが、いずれも許されました。許されたとしても菓子折りは持っていきました。
家庭訪問ではなく、個人懇談にするのはどうか
家庭訪問は膨大な時間と労力がかかるので、個人懇談にするのはどうでしょうか。私立の学校は個人懇談にしているところが多いですし…。
なるほどですね。でも、今の状況から言うとなかなか厳しいです。
家庭訪問は、公立の学校はしますが、私立の学校はしません。これは、家庭の経済状況が違うことが挙げられます。
私立は、ある程度お金をもっている家庭のみ行かせることができますが、公立は全ての子どもを受け入れます。
そこには、経済的に恵まれたところも多いですが、厳しい家庭も少なくありません。虐待が行われたり、家が生活できない状況などと、市町村と連携して家庭を支えている状況です。
経済的に貧しい家庭だけを訪問すれば良いという意見もあるのですが、それは子どもにとっては精神的に辛いものがあります。
物を揃えられない実態があるのに、物を持って来いと学校が言う。
親は一人しかおらず、日中はアルバイトで来られないのに、両親を連れて来いという。
そんな悲しい状況を教育現場で行わないためにも、家庭を知るというのは公的機関である学校の仕事の一つであってもおかしくはないのではないでしょうか。
まとめ
今回は、家庭訪問の目的と気を付けることをまとめました。
参考になったら嬉しいです。4月から効果的な家庭訪問を行い、子ども達にとって素敵な教育環境をつくってあげてくださいね。それでは。