ADHDの薬について―子どもに薬を飲ませるときに気をつけること

ADHDと薬子育て
親

子どもが学校で落ち着きがなく、担任の先生や周りの方にに迷惑をかけているそうです。ADHDかもしれないと心配しています。薬を飲んだら症状が収まるかもしれないから心療内科に相談したらどうですかと教えていただきました。でも、家では普通なのに薬を飲むなんて・・・・。

 

なるほどですね。5歳くらいまでは、発達の段階で気づかれないことがあります。しかし、担任の先生の言うように集団生活になじめていないという状況は見逃せません。小学校には教頭など状況がわかっている人がいますので、もし、担任の先生で心配がある場合は、まずそちらの意見を聞いていみましょう。

 

先生
 

実は、教頭先生にも同席していただいて、教えていただきました。そうしたら、椅子に座れない、友達にずっとちょっかいを出すなど、補助の先生が横に付いても手に負えないそうです

 

そうですか。その状況が続くようでしたら心配ですね。それでは、ADHDというのはどのようなものなのか。また、薬を服用するときにはどのような作用・副作用があるか話していきますね。

  

ADHDとは

 

ADHDとは、Attention Deficit Hyperactivity Disorder略称で、日本では、注意欠陥・多動性障害とも言われています。

 

注意力の欠如や衝動的で落ち着きがないなどの状態。ドーパミンやノルアドレナリンなどの脳内伝達物質の不足などによって引き起こされます。

 

 

種類としては、大まかに3つに分かれています

 

 

ADHDの種類種類における特徴
 
多動・衝動性優勢型
 
落ち着きがない、感情が抑えられない
 
不注意優勢型
 
忘れ物やうっかりミスが多い。片づけ整理整頓が苦手
 
混合型
 
上記二つが混ざっている
ADHDの種類

 

外交的で積極的な「多動・衝動優勢型」。注意力が欠けて忘れ物やミスが多い「不注意優勢型」。もしくは、その両方の「混合型」というふうに分類されています。

 

 

「不注意優勢型」は、実は大人になるまで気付かれにくく、社会人になって誰かに指摘をされるか自身で気付くことが多いようです。

 

 

小松

日本のある学者は、「5人に1人はADHD」。アメリカのデータでは、「10人に1人はADHD」と言われています。30人学級でしたら3人になりますので、クラスに3人はいてもおかしくはありません。

 

 

ADHDと診断されたら

 

本人としては、特に何も変わりません。強いて言えば、お子様に診断名が付いたくらいです。

 

良くないケースは、今まで必死に支援を続けていた保護者の方が、「うちの子はADHDだから。」と言って、何もかも成長をさせることをあきらめ、支援の手をやめてしまう方がいます

 

また、学校も同じで、ADHDと診断が出た時点で、「ADHDだから、特別支援学級にとりあえず入れよう」と考える先生方もいます。

 

でもこれは良くありません。子どもとしては、診断が下りたといっても本人が生きていく世界であることは変わりません。

 

先生

それでは、どうすれば良いですか。

 

  

まずは、発達障害の有無に関わらず、子どもの「できること」「できないこと」をしっかり見分けて、本人が身に付けることができそうなことをさせましょう。

 

まずは、子どもの様子をしっかり見てとって、子どもにとってできること、できないこと、得意なこと、苦手なことを整理することが優先です。

 

例えば、準備片づけは苦手だけれど、図工は得意。友達は好きだけれど、付き合い方が苦手な子どもがいるとします。図工の準備は大人が見守ってあげると良いですし、友達とかかわるやり方(ソーシャルスキルトレーニング)を特別支援学級で学ぶというやり方があります。

 

大事なことは、支援の手を緩めずに、細かく分析的にこどもを見てそれを大人が共有することで子どもの発達にとって最適なものが導けます

 

小松
 

診断名が付いたところで子どもは何も変わりません。

薬の作用

 

親

薬ってきくと心配です。精神安定剤のようなものでしょうか。それを子どものときから服用するのは心配です。

 

特に心配はいりません。副作用はありますが、多くの方がこれらの薬を服用して生活しています。少しだけ難しい話をします。読まなくても大丈夫です。

 

ADHDは、脳内のドーパミンやノルアドレナリンなどの調節の異常が生じることによって、症状が現れます。そこで、神経物質を調整するのが下に挙げている薬です。

 

脳の中の神経細胞はシナプスという部位を介して神経回路というものを形成しています。神経の中では神経伝達物質が放出され、神経内を移動していきます。

 

放出された神経伝達物質の一部は「再取り込み」といって神経前終末というところへ回収されます。再取り込みにはトランスポーターと呼ばれる物質などが関わります。

 

ドーパミンあるいはノルアドレナリンの再取り込みを抑えることで、これら神経伝達物質の働きを強めることが期待できます。

 

小松
小松

放出された神経伝達物質を神経の別の場所に伝えるのが再取り込み。それを手伝うのがトランスポーターです。

 

ADHDに対する薬

 

先生
 

……。

 

 

あまりわかりませんでしたが、脳の神経伝達物質に関係があることはわかりました。子どもが薬を飲むとしたらどんな作用がありますか。

はい、その神経伝達物質のお手伝いをしてくれるのがお薬の役割です。忙しい方は、インチュニブだけをお読みください。

 

コンサータ

 

コンサータ(薬品名:メチルフェニデート)は、主にドーパミン及びノルアドレナリンの再取り込みを抑えることです。中枢神経を刺激することで、注意力・集中力を上げるというお薬です。

 

 

これにより不注意症状の改善が得られ、また多動性や衝動性症状の改善にもある程度の効果を認めます。

 

ADHD治療薬として有用なお薬ですが、問題点もあります。それは「耐性」「依存性」といった副作用の問題です。

 

「耐性」とは、お薬を使い続けていると次第に身体がお薬に慣れてしまい、効きが悪くなってくることです。

  

「依存性」というのは、お薬を使い続けていることで心身が次第にそのお薬に頼りきってしまうようになり、お薬を止められなくなってしまうことです。

 

依存性が形成されると常にそのお薬を欲するようになり、お薬が飲めないと落ち着かずソワソワすイライラするといった精神症状が出現したり、あるいは震えや頭痛、しびれなどといった身体症状が出現してしまいます。また必要以上にお薬を服用してしまうようになります。

 

ストラテラ

 

ストラテラ(薬品名:アトモキセチン)は、主にノルアドレナリンの再取り込みを抑えることで、脳内のこれらの神経伝達物質の働きを増強し、症状を改善するとされています。

 

効果は、中枢神経刺激薬(コンサータ)にはやや劣るものの、ADHDの各症状を改善させる効果をしっかりと有しています。

 

そして最大の特徴は耐性や依存性がない事です。ストラテラは中枢神経刺激薬と異なる作用を持ち、耐性や依存性が生じないのです。

 

今はジェネリックも出ていますので、お求め易いと思われます。ただ効果は薄いことがあります。私の教え子は、コンサータからストラテラに変えることで態度は著しく悪くなりました。

 

インチュニブ

 

インチュニブ(薬品名:グアンファシン)は、2017年に2つ目の非中枢神経刺激薬として発売されました。

 

インチュニブもストラテラと同じく耐性や依存性はありません。また効果は中枢神経刺激薬(コンサータ)にやや劣るものの、安全性に優れます。

 

更にストラテラとの違いとして、ストラテラがノルアドレナリンを増やす事でADHD症状を改善させるのに対し、インチュニブはアドレナリン2A受容体というところを刺激する事でADHD症状を改善させます。

 

効果発現まで1~2カ月かかるストラテラと比べると、インチュニブの効果発現は早く、1~2週間で効果が現れることもあります。

 

 

早期の対応を求めるのであれば、インチュニブがよさそうですね。

  

子ども用のADHDの薬として注目され、内臓への副作用が無いことが特徴です。眠気や倦怠感に影響を与えてしまうことがあるようですが、個人差があるようです。また、グレープフルーツジュースと相性が悪いため、飲み合わせの配慮が必要です。

 

また、副作用として眠気があげられます。学習者や勤労者にとってかなりきつものがあるようです。私の教え子でインチュニブを服用している子には、「眠たかったら寝ていい」というようなルールを作っていました。

 

子ども用として処方されるのは、インチュニブの1錠が主流です。発達に伴って、2錠。効果次第で薬を加えたり変えたりするというケースがあります。

 

ビバンセ

 

ビバンセ(薬品名:リスデキサンフェタミン)は、体内で活性体であるd-アンフェタミンというものへへ変換されて作用を表します。

 

 

この作用により脳内におけるノルアドレナリン及びドーパミンの働きを調節することでADHDの症状改善効果を表すとされています。

 

小松
 

何回調べても、ビバンセの作用はよく理解できません。

 

以前は、コンサートとストラテラしかありませんでしたが、インチュニブやビバンセといった新薬も出ており、後発薬も出ています。

 

よりわかりやすい資料は、下のリンクをご参照ください。

インチュニブってどんな薬ですか?
 インチュニブは、コンサータ、ストラテラに続く日本では3つ目のADHD(注意欠陥多動性障害)のお薬です。2017年3月に認可され、6歳以上18歳未満への処方が認められました。先行する薬の例からも今後成人への処方が認められる可能性もあります。※2019年6月追記 18歳以上への処方も認められました。  ここではコンサータ...

 

どの薬がいいか

 

子ども用としては、現在(2022年)は「インチュニブ」をおすすめします。理由は、上述の通り、副作用が比較的少ないからです。効果が効くのに少し時間がかかることと。

 

日中強い眠気があること。前日に確実に飲ませること。効果を増やすには、2錠飲むという負担が生じることを気にししていれば良いかと考えられます。

 

また、一錠あたり、100円近くします。一日当たりの出費はかなり大きいので、行政機関や医療機関で何かしらの補助や控除があるのではないかと思います。確認されてください。

 

小松
小松

1錠1mgで、2錠で2mgです。当たり前ですが。

 

気をつけること

 

薬は、子どもによって全く反応が異なります。ですので、効き目は家の中では全くわかりません。学校や遊びの中でどう作用されるかがわかるのです。しかし、残念なことに家庭と医者がなんとなく薬の話をして、なんとなく処方される場合が多いのです。

 

私も、学級がうまくいかないときに、おかしいなあと思っていると、気づかないうちに薬が変わっていたということがありました。

 

「副作用で食欲がないから、副作用がないものに変えてもらいました。」

 

「最近言うこと聞かなくなってきたから、薬を変えてみました。」

 

などが理由のようです。

 

しかし、現場はそれ以上に大荒れです。窓ガラスを割ったり、友達を容赦なくボコボコにしてしまったり…。

 

薬の変更や薬の増減は必ず担任と相談されてください。

 

薬を変えるときは、関係機関(学校・学童・習い事)と要相談

 

まとめ

 

今回は以下のような話をしていきました。

 

・ADHDは、「多動・衝動優勢型」、「不注意優勢型」、「混合型」の3種類。

・ADHDに対する薬は、主に4種類。

 「コンサータ」「ストラテラ」「インチュニブ」「ビバンセ」

・神経伝達物質を補助する薬。

・子ども用には、「インチュニブ」が主流。

 眠気等の副作用に対応するルール作りが必要。

・薬を変えるときは、医療機関や学校に相談。

 

また情報が更新されていったら、この記事も更新していきます。ADHDに関わる方皆さんが幸せだと思えるようにしていきたいですね。

 

小松
小松

薬の使用は、家族全員と本人、学校の先生、心療内科の先生としっかり話し合って、決めてください。大事なことは、子どもが学校生活をより豊かに過ごせるようにすることです。子どものために最適な決定をされてくださいね。それでは。

 

 

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