学校で植物を育てることの効果と気を付けること

植物を育てる効果と気を付けること 学校の先生

 

先生
 

こんにちは。学校に花を植えてもうまく育てられず枯らしてしまいます。先日は、アサガオの観察をしようと思ったのですが、全て花が咲きませんでした。どうしてでしょうか。

 

こんにちは。それは、残念でしたね。枯れてしまった原因はわかりませんが、アサガオの花が咲かなかった原因は、恐らく肥料の問題でしょうね。

 

先生
 

アサガオがたくさん育つように肥料をいっぱいあげたのですが、それがいけなかったのでしょうか。

 

そうですね。肥料の種類にもよりますが、肥料のやり過ぎは、花が咲かない原因の一つです。他にも、水のやり方や肥料の配分、土の作り方など、意外と知らない植物の育て方があるかも知れないので、まとめてみますね。

 

 

今回は、学校の植物の育て方をまとめました。

 

 

私は、田舎で育ったので、植物を育てるのは当たり前の環境でした。

 

  

庭も実家にあり、今の住む家に庭があり、草や木を育てています。

 

たくさんの植物を枯らし、たくさんの植物を育ててきたので皆さんにお伝えできることができるのではないかと思います。

 

 

一つでも参考になれば幸いです。

 

植物を育てることは、趣味の一つでもあるかもしれません。子供を育てることと、植物を育てるのは似ていますし、面白いです。それでは、解説していきます。

 

 

 

学校に花を植える目的

   

 学校に植物を植える目的は大きく3つです。

 

  1. 景観をよくするため
  2. 心の状態をよくするため
  3. 学習の教材として使うため

 

当たり前かも知れませんがこの3つです。順に解説します。

 

 

景観をよくするため

 

  

 

学校の景観はやはり、植物が合った方が良いですね。植物がないとどうも殺風景になってしまいます。。

 

 

また、たくさんの木々や花に囲まれている学校は心が休まるものです。

 

 

コンクリートだらけの学校は物寂しいものですからね。やはり、植物は有った方が良いです

 

 

 

 

 

 

心の状態をよくするため

 

 

植物があれば、人の心の状態がよくなります。

 

  

実際に、花があることで、人の心は安らぐことが近年の研究で分かっています。

 

    

花があるとどうなるか

 

次の資料は、「みずほリサーチ&テクノロジーズ」が、「国立大学法人千葉大学環境健康フィールド科学センター」より受託した「花に対する正しい知識の検証・普及事業」の実験結果です。

(調査実施時期:2011年10月 結果公表時期:2012年3月)

 

 

実験方法は、オフィスワーカー、医療従事者、高齢者、高校生を対象として、花のある部屋と花のない部屋にいて、本人による心の状態評価と、心拍の変動制と脈拍数を用いて行われました。

 

 

写真1
実験中の様子

   

その結果、以下のようなものになりました。

 

 

  • リラックス時に高まる副交感神経活動は29%良くなった。
  • ストレス時に高まる交感神経活動は25%抑制された。  

 

 リラックスしているときには、さらに30%の人がリラックスしました。また、ストレスが高まっている人は、25%の良くなりました。

 

【結論】

バラの視覚刺激は、リラックス時にも、ストレス時にも改善効果が確認された。

    

 

リラックス時にも、ストレス時にも効果があるというのは大きいですね。特に、子供たちは学校というストレスが強いところに行くわけですから、必要不可欠な心の栄養です。

また、次のような結果も出ています。

図1
花のありなしに対する心理的効果

 

 

生花がもたらす心理的効果を測定したところ、花の無い部屋に比べて花のある部屋では「活気」の気分プロフィールが大幅に増加し、「混乱」・「疲労」・「緊張・不安」・「抑うつ」・「怒り・敵意」が低下することが明らかとなりました。

 

 

疲労にも効果があるというのは驚きですね

  

上の実験を交感神経活動と副交感神経活動で表されている結果もあります。

 

 

図2
花のあり・なしによる神経活動の反応

 

心拍変動性というものを用いてバラ生花がもたらす効果を測定したところ、花のある部屋では交感神経活動が25%低下し、逆に副交感神経活動が29%上昇することが認められたそうです。

 

 

交感神経活動の低下はストレス状態の緩和を、副交感神経活動の上昇はリラックス状態の改善を意味しており、生花がもたらす生理的リラックス効果を医学的に証明できることが明らかになりました。

  

ストレスの緩和とリラックス状態の改善が医学的に証明されました。花には、すごい効果があるんですね。

 

以上のように、花には、心の状態が良くても悪くても改善してくれる優れた働きがあります。朝学校に来た時、きれいな花に迎えられることで活力がわき、少しすさんだ子には花が癒してくれるかもしれません。

 

効果は個人差がありますが、少なくとも無いよりあった方が良いようですね。

 

 

【出典】

みずほリサーチ&テクノロジーズ : 千葉大学環境健康フィールド科学センター(自然セラピープロジェクト)による「花きに対する正しい知識の検証・普及事業」の調査結果について (mizuho-ir.co.jp)

 

 

ポイント

花を見ることで見ないときよりも、ストレスを25%緩和し、リラックス効果を29%高める。

 

 

植物があるとどうなるか

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観葉植物の例

 

観葉植物にも、同じように効果があるようです。

 

ただ、植物が好きか、花が好きか、それとも関心が無いかは個人の好みによるようなので、効果には個人差が出てきます。

 

観葉植物で育てやすいものをピックアップしておきます。

 

お勧めの観葉植物

  ・フィカスウンベラータ

  ・フィカスアルテシマ

  ・ポトス

  ・ホンコンカポック

 

 

学習の教材として利用するため

 

生活科

生活科では、一年草の植物を育てます。

 

  

1年生では、チューリップ。2年生ではミニトマトを鉢植えで育てることが多いと思います。

 

  

また、ひまわりを育てたり、さつまいもを育てたりするところもあるでしょう。

 

  

一年草以外にも、多年草や樹木類などもありますので、それらを育てるのもよいですね。

 

 

理科

理科では、ホウセンカやツルレイシ、アサガオ、インゲン豆などを育てます。

 

肥料についてや、土づくりについて簡単な知識が無いと、思ったように育ちません。簡単な知識だけはいれておきましょう。

 

 

図画

 

 

図画では、花を描く子が少なからずいます。花は曲線や丸があり、子供たちには親しみやすく、描きやすいからです。

 

 

つい大人の感覚で、建物だけを描かせようとするのは、子どもの実態に合っていないのかもしれません。

 

花の種類

  

花の種類もたくさんあります。基本的なところだけをおさえておきましょう。

 

 

1年草(2年草) と 多年草(宿根草)

 

 

1年草とは、1年間で育ち、枯れてしまう植物です。

 

  

次のような意味をもつそうです。

 

 

種子をまいてから1年以内に開花し、種子を結実して枯死するか、または寒さ、暑さのために枯死するものを「一年草」とよぶ。

「コトバンク」より引用

  

 

同じように2年草という種類がありますが、これは、文字通り2年間で枯れてしまう植物です。

 

 

また、多年草とは、1年だけでなく、何年も生き残る植物です。

 

 

草本植物で2年以上生存し、常緑または越冬の際地上部の一部は枯死(こし)するが、地際に近い茎葉と根部は生き残り、翌春ふたたび萌芽(ほうが)して成長開花するものを「多年草」とよぶ。

本来、多年草宿根草ともいい、同じ扱いをしている。

「コトバンク」より引用

 

例えば、「芝桜」が人気です。

 

  

学習指導要領としては、こちらを教材として使うようになっていますが、学習指導外の活動に関しては、多年草でも良いという解釈もできます。

 

 

球根と種子

球根から育てる植物と、種子から育てる植物があります。学校では、基本的に苗から育てることをお勧めします。

 

発芽率と、労力の関係から現代社会には、球根と種子から育てるのは割にあっていないような気がします。

 

種子と苗

前述の通り、苗から育てる方が手っ取り早いです。種子から育てる場合は、しっかり1日以上吸水させてから、ふかふかの土にいれ、毎日水やりをしましょう。

 木に咲く花も忘れてはいけません。草花とちがい、開花期間は短いです。

 

 

しかし、百日紅のように、長い期間花を咲かせるものもあれば、沈丁花やクチナシ、キンモクセイ、ギンモクセイのように香りが豊かな花もあります。

  

 

色の濃いイワツツジや、人気の高いサクラや藤もあります。

 

 

ぜひ、木に咲く花も忘れないでください。

 

学校に植える花

デイジー

ポピー

ペチュニア

ひまわり

スプレーマム

コスモス

パンジー

ビオラ

植物を植えるときに気を付けること

 

土づくり

基本的に土は、

園芸用の土 : 赤玉土 : 腐葉土 = 2 : 1 : 1

 

 

植物を育てるのは、まず一番気をつけなけれならないのは、土づくりです。

 

 

植物を植える前に、土を作って2週間放置をしておいてからではないと、植物が元気に育つ環境にはなりません。

 

 

土には、園芸用の土だけで良い場合と、より水はけ等を改良して「赤玉土」「鹿沼土」を配合した方がよい場合があります。

 

 

よく私が失敗したことが、園芸用の土のみを花壇に入れ、根腐れをさせてしまったことです。水はけや、土の硬さなど、その植物に合ったものを使ってあげなければ、植物はよく育ちません。

 

 

観葉植物には、観葉植物の土などがあり、それぞれ目的にあった土づくりをしてから育てるようにしましょう。

 

土に必要なもの

土に必要なものは

  • 水分
  • 栄養
  • 空気

 

 

土に必要なものは、「水分」、「栄養」ということは、よく知られているでしょう。

 

 

しかし、「空気」が必要というのはなかなか知られていません。

  

 

「空気」があることによって、微生物は呼吸し活動し、栄養を与えます。

 

 

「空気」があることによって、 根が乾き、根腐れを防ぎます。

 

 

「空気」があることによって、 根が張りやすくなります。

 

 

 「空気」を土に入れるということを意識して、土づくりをすると、植物が良く育つ土になります。

 

肥料

 

 

元肥

植物を植える前に入れておく肥料です。

 

 

植え替えをする際などに、いれてください。

 

 

入れると、根が出にくくなる場合もありますので、根が当たらないところに軽めに入れましょう。 

追肥

普段、肥料を与えるのを追肥といいます。

 

 

成分をよく見てから与えてください。 

 

 

肥料の種類

 一口に肥料と言っても、たくさん種類があります。

 

 

 使い方を間違えてしまうと、思ったように花が咲かなかったり、枯れたりしてしまいます。

 

 

まずは、肥料の中身を知りましょう。

 

 

肥料の中身
  • 「チッソ」・・・・葉がよく育つ
  • 「リン酸」・・・・実がよく育つ
  • 「カリウム」・・・植物全体が丈夫に育つ

 

 

「チッソ」は、葉や根の植物全体の生長に助けます。チッソが不足すると、葉が小さくなったり色が薄くなったりと生育不良になります。「葉肥え」ともいわれる最も必要な栄養素です。

 

 

「リン酸」は、葉や根の生長をサポートするだけでなく、開花や結実に力を発揮します。不足すると、開花などに影響が出ます。「実肥え」とも呼ばれています。

 

 

「カリウム」は、植物を丈夫に育てる栄養素です寒さや暑さ、病害虫に対する抵抗力をつけてくれます。これが不足すると生育が悪くなり、病害虫の被害を受けやすくなったりします。「根肥え」ともいいます。カリウムには、でんぷんをつくるのを助ける補酵素としての働きも期待されていますので、でんぷんを作りたいときなどには、カリウムが欠かせません。

 

 

これらの、3つの栄養素が元となり、肥料が決められます。多くの肥料は、チッソが入っています。

 

 

しかし、チッソ肥料ばかりを入れていたら、葉ばかりが多くなってしまい、開花時期になると、開花せずに葉だらけになります。

 

 

肥料の配合を確認して、与えていきたいですね。

 

肥料を与え過ぎたときは、取り除けるときは取り除き、取り除けないときは、大量の水で洗い流しましょう。大丈夫です。私もたくさん失敗してきました…。

 

 

水やり

基本的に水は朝だけ

大抵の植物は、1日に1回水を与えておけば、枯れません。

 

 

しかし、水の与え方を間違えると枯れます。

 

 

基本的に水やりは、平日の朝だけと、金曜日の放課後にした方がよいです。

 

  

特に寒冷地は、夕方に水をあげてしまうと、根が凍ってしまう場合があります。

 

 

 

昼間に水やりはNG

よく、そうじ時間になったら水をあげるということをされる方がいらっしゃいますが、掃除時間は真昼の時間にあると思います。

 

 

昼間に水を与えると、お湯になってしまいますので、植物の根や葉を傷める原因になってしまいます。

 

  

夜でも朝でも良いのですが、気温が下がっている時間に水やりをするとよいでしょう。

 

 

なお、植物屋によると、夜にあげると朝よりも水を吸収し過ぎるので、植物が病気に負けやすくなるそうなのですが、1年草などでは気にしなくて良いです。

 

水やり当番のリスク

 

 

水やり当番制は、教師側は、非情に楽なのですが、危険性があります。

 

 

子供たちは、忘れたり、さぼってしまったりするからです。

 

 

水をあげているかあげていないかは、土を見ればわかりますので、確認しやすいところに、植物をおき、デリケートな植物は教師が毎日確認するとよいですね。

 

アサガオは、雑草で生えるくらいですから、管理はおおざっぱでも大丈夫です

 

 

日光

日光がどのくらい当たるかで植物の育ち方は変わってきます。

 

 

単純に日光を当てていくだけでは、葉が落ちてしまいますし、日光に弱い植物は枯れてしまいます。

 

 

また、日光の当たり具合によっては、夏場に何度も水を与えなえればならない状態になります。

 

 

まとめ

 

今回は、学校にある植物の効果と、育てるときに気を付けることでした。

 

 

まとめ

<植物を植える目的>

  • 植物があると、景観が良くなる。

 

  • 植物を植えると興奮が落ち着き、心が穏やかなになる。

 

  • 学習の教材として使える。

 

<気を付けること>

  • 土づくり・・・水分、栄養、空気を意識する
  • 肥料・・・・・チッソ、リン酸、カリウムの配合を考える
  • 水やり・・・・朝1回水をやる
  • 日光・・・・・当たり過ぎない、当たらな過ぎない

 

これらのことを基礎に、様々学び続けましょう。まずは、失敗してしまうところから始めましょう。

 

 

たくさん失敗して、教えてもらいながら学びましょう。それでは。

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