
子どもたちが本を読みません。本を読みなさいと言ったら読むのですが、進んで読もうとはしません。どのようにしたら本を進んで読むようになるのでしょうか。

多くの大人が悩まれていることですよね。本を読むことのすばらしさを知っており、ぜひわが子には本を読んでほしいと願っていると思います。そんな子どもたちが本を手にとるための工夫をまとめてみました。
「子どもが本を読まないなあ…。」と悩んでいらっしゃいませんか。
現代の子どもは、さまざまなメディアの影響を受け、純粋に読書をする機会が失われてきています。
読書をすることで、文章を読む速さや文章の理解力などもつき、読解力や想像力がつきます。
私たち大人はその重要性を理解しているからこそ、読書を勧めたくなります。
また、私たち親の世代も、親や学校の先生から本を読むように言われてきたと思います。そして、少なからずも読書をしてきた。
でも、実際わが子をみると頭を抱えたくなりますよね。そこで、子どもたちが、できるだけ本を手に取れる方法をまとめました。

参考にしていただけると嬉しいです。
現状
子どもは全く本を読まない?
子どもたちは、読書を全くしていないのでしょうか。
次の資料は、全国学校読書協会が出した子どもたちの「1日の読書時間の分布」です。

上から順に、青が読書時間「0分」、紫が「120分未満」、緑が「60分未満」、赤が「30分未満」、水色が「120分以上」です。
グラフからわかるように、1日のうち読書時間が「0分」の子どもの割合が、「48.0%」と1番多いことがわかります。

二人に一人は、1秒も本を読まないのです。
一方で、近年読書時間60分未満の子が12.5ポイントに下がったのに対して、読書時間120分未満の子が19.5ポイントに増えたのがわかります。
これは、一部の子どもにとって、読書時間が長くなっていることの表れではないかと考えられます。
しかし、本当に目を向けたいのは、読書時間が一日に0時間の48.0%の子どもです。0時間の子どもが、二人に一人いるわけですから、これらの子を少しでも読書に向かわせることが急務となっています。。
60分未満の子達は、ある程度読む習慣が身に付いていると考えられますが、、0時間の子どもは文章を読む力すら育っていないのではないかということが考えられるからです。
これはこれから学習をしていく上でも、社会に出る上でもスキルとしても、その子にの将来にとって大きなマイナス要因になります。
読書しない背景
子ども達は、そもそも、なぜ読書をしないのでしょうか。原因は様々ですが、主な原因は3つ考えられます。
・読書に関心が無く、他のものに関心がある。
・習い事、宿題、塾などで時間が無い。
・そもそも読む力が乏しい。
現代の子どもたちにはこの3つが当てはまります。読書をしなくても、他に夢中になることが多いのです。
もちろん何かに打ち込むことは悪いことではありません。塾に、スポーツに、したいことに夢中になるのはとてもいいことです。
だから、本を読まず、読書の力がつかない。そして、そうして読書から逃れているうちに、さらに読書をする力がなくなってしまうのです。

私も小学校の頃は、習い事の稽古に忙しく、読書から逃れていたうちの一人ですが、中学校ごろからなぜか読めるようになりました。
対処方法 ー6つの心がけー
子どもの実態を把握する
本を読まなくなった原因、読まない原因を確かめましょう。
幼少期は親に「本、読んで。読んで。」と言っていたと思われます。しかし、だんだん読まなくなってきます。そのきっかけをつかみましょう。
- 本を読まないのではなく、読めない。
- 本を読まないのではなく、読みたい本がない。
- 本は好きだけど、読む時間がない。
- 本が読めるかどうかもわからず、読みたいかどうかもわからない。
- 読書は好きだけど、読むジャンルに偏りがある。
- 一時的には読むが、継続的には読めない。
まずは、考えられるものをたくさん出してみて、今後の読書教育方針をざっくりとでいいので考えてみましょう。

多くの子が、「時間がない」と答えるのと、ではないでしょうか。
時間が無いならば、時間をつくれるように家族で話し合ってみるとよいですよね。そのように、原因が特定されれば、解決策は見えてきます。
子どもの関心や能力に合わせた目標を立てる
簡単でよいので目標を立てましょう。
・まずは、座って何かを読ませる。
・まずは、歴史ものの漫画を読ませる。
・まずは、絵本を3冊読ませる。
なんでも良いので目標を立ててみてください。
子どもはいろんな本を手に取り読んでいきます。ある子どもは、歴史漫画。ある子どもは小説。またある子どもは図鑑を読みます。
私は、それでよいと思います。無理に誘導するより、自然な感情で自然なままが良いと思います。徐々にいろんな本に手を伸ばし始めますから、自然な流れをつくりましょう。
友達や家族が大きな存在になります。友達が、「これ面白いよね。」という作品は大きな影響力をもちます。きっかけは人それぞれですので、まずは絶対に越えられる目標を立てクリアしていきましょう。

私は、伝記の漫画ものに興味をもってたくさん読んでました。でも友達や兄弟から勧められた本を読むようになり、いつの間にか小説なども読んでしました。
読みたい本を図書館で見つけさせる
子どもが読みたくなるような児童書というものは、1冊1000円以上もして、結構金額がかかるものです。しかし、図書館なら無料でいくらでも読むことができます。
図書館で読むよさは他にもあって、図書館で読むと貸し出しや返却をするということをしなくてすみます。一緒に図書館で学習や仕事をすると、子どもたちも安心して本が読めることでしょう。

読書を推進するためには、図書館は不可欠です。毎週土曜日の午前中に図書館に行くなど、週に1回図書館に行く習慣をつけると良いですね。
本を読む時間をつくるためのルールをつくる
本を読む時間を設けましょう。家にいて、本を読む時間、それは、夜の時間や土日祝日など、読む時間をしっかり設けましょう。
強制的に本を読む時間というより、本を読まざるを得ない時間をつくります。
例えば、「20時以降は健康が悪くならないように、テレビやゲーム、スマホを扱わない。」などと、すれば、することがなく読書をするということが考えられます。
他にも例をあげておきます。
・20時(実態によっては21時)以降電子機器は使用しないようにする。
・土日祝日は朝7時に起きて、10時まではゲームをしてはいけないようにする。
・テレビやゲームはリビング以外でしないようにする。
・週に1回図書貸し出しの時間を設ける。
・授業中の課題やテストが終わったら読書をさせる。
これらのルール作りをすることで、自然と読書する習慣ができます。

読書と同時に、映画やアニメ、漫画の素晴らしさも語ってあげると、読書をすれば、より楽しく人生が過ごせることに気が付けます。読書だけを話すと、子ども達と心の距離が離れていってしまいます。
大人が本を読む姿を見せる
大人が本を読みましょう。スマホも扱うし、パソコンもする。本も読むし、漫画も読む。そうすると、子どもも自然と「本を読むのっていいんだな。」と大人の姿を見て判断します。
逆にスマホやゲームばかりをしていると、「やっぱりスマホやゲームの方が楽しいんだ。」と子供たちは思います。
子どもの最高のライバルは身近な親や先生です。大人が、「今週、本2冊も読んだよ。」と言ったら、子どもは、「私は、10冊読んだよ。」と返してきます。
しかし、劣等感やコンプレックスが強い子にその言葉をかけると、「私、読書興味ないもん。外で遊ぶ方が好き。」と答えてしまいます。これは、劣等感を子どもに植え付けるようなものです。子どもの実態に応じて声のかけ方は変えてください。

ぼったくりの不動産屋が、自分で買いもしないマンションを薦めるのと同じ理論ですね。価値があるならば、絶対に自分で買っているはず。価値があるなら読書は大人はしているはず。まずは大人が読書しましょう。
正しい声かけをする
子どもが読みたくなるような、話したくなるような、もっと読書したくなるような声かけをしましょう。
・その人物はそれからどうなるの。
・続きはどうなると思う?
・結局、この二人は仲が悪いんだね?
・この本はやっているね。知り合いのお子さんの○○ちゃんが…
・最近読書よくするようになったね。なんで?
他にも子どもに合わせて、いろんな声かけができると思います。
逆に、ついつい気持ちが先走って、「なんで本を読まないの。馬鹿になるよ!」「本を読まないといい子に育ちません!」などと言ってしまいがちです。
これを言うと、子どもは、読書に対して否定的な感情をもちます。本を読むのは楽しいことです。本を読むのは必要なことです。本を読むと人生が豊かになります。その前提条件抜きに、子どもたちは本を読みません。
補足
国語の物語文をたくさん学べば読書するか

国語の授業を繰り返しておけば、図書を好きになれるのではないですか。
学校の国語の物語文を学習すれば本を読むなんて人もいますが、残念ながらそれは難しいです。
以前某大学で日本の国語教育の権威でもある先生は、
「文学的教材は国語でしないほうが良い。総合学習でした方が良い。」
とおっしゃっていました。日本の国語教育の文学的教材では育てたい力や評価方法が不明確だということだと解釈できます。
私も同意で、様々な先生方の授業をみていると、この学習は将来子どもたちの何になるのだろうと疑問に思うことがありました。
ひどい例では、十数回も同じ文章を読ませて、教師が取り上げた文章の一部を取り上げて、グループごとに機械的に自身の解釈を述べ合って、最期に教師の解釈を伝える・・・。これでは、子どもたちは読書離れしますよね。
どんなに授業がうまい先生でも、どれだけ国語の専門家でも、どれだけ活発な研究授業でも、子どもの興味・関心に合った最適な本にはかないません。
読書を推進するにはやはり「読書時間」。子どもが自分たちの手でよい本に出会い、読書の価値に気づかなければ本当の意味で読書はできません。
文学的文章の指導を全て否定しているわけではありません。中には、各学校の研究授業や何気ない国語の授業で読書の楽しみを伝えようとする学習があまりに見られないので、このように書かせていただきました。

みんなで楽しんで読み深めていく、形式的でなく、子どもの「なんで?」に寄り添った学習展開をしない限り国語科で読書の推進は難しいです。逆に言えば、日本の優秀な児童文学はそういう作りになっていますので、それを使えば読書の面白さがわかってくるかも知れません。まとめます。
まとめ
1 子どもの実態を把握する。
2 子どもの実態に応じた目標を立てる。
3 図書館へ行く習慣を設ける。
4 読書時間を確保するためのルール作りをする。
5 大人も本を読む。
6 読書習慣が続けられるような、正しい声かけをする。

これらの取り組みをして、読書週間が根付き、人生を変えてくれるような最高の1冊を見つけてくれるといいですね。参考になったら嬉しいです。それでは。