朽木祥 作 『かげふみ』について

こんにちは。小松さん。朽木祥さんが新しい本「かげふみ」を出版されていたそうです。読まれました?

こんにちは。もちろん読ませていただきましたよ。雨の図書館は素敵なロケーションでしたね。

そうですね。あの作品は、子どもたちには読ませた方がよいでしょうかね。

是非全員に読ませたい作品ですね。でも、読むのが苦手な子には長い文章になりますので、工夫が必要なようですね。解説します。

よろしくお願いします。
あらすじ
1人の男の子が、夏休みに体験した不思議な出来事を表した物語。
男の子は雨の日にだけ図書館に現れる不思議な女の子に関心を抱いた。
話しかけてみると、女の子は「かげ」の本を探していると言う。
男の子は、原爆資料館で見たものや登場人物から聞いた話をもとに、女の子の真相をたどっていく…。
『かげふみ』の教材性
率直な感想を言うと、どの子どもに読ませたい物語でした。
原爆を怖がる子どもでも配慮が必要ですが読ませられます。
しかし、注意が必要です。
事前の知識が重要
当たり前ですが、この本を読んでも、戦争や原爆の事前知識が無い場合、よくらからない状態になってしまいます。
戦争の教材は、「ちいちゃんのかげおくり」や「一つの花」、「たずねびと」で学習していることでしょう。
読む前に、原爆や戦争の背景について、年齢に応じた分かりやすい説明を加えおくとよいでしょう。
また、「なぜこの本を読むのか」「どんなことを学べるのか」を伝え、興味や関心を持たせるとより教育的価値が出てきます。
理解を深める工夫が必要
難しい言葉や概念について補足しながら読むとよいですね。
戦争と平和について考える活動(新聞記事の紹介、関連する絵本など)を組み合わせとよりよいですね。
平和学習やたずねびとなどの戦争教材と一緒に使うとよいです。
感情への配慮が必要
『八月の光』や『光のうつしえ』は、子供の実態によってはおすすめできない場合があります。
しかし、『かげふみ』は、『たずねびと』同様、比較的安心して読ませられます。
それでも、原爆と聞いて耳を塞ぐ子や原爆資料館や平和記念館に入らない子にはおすすめできないですね。
悲しい場面や衝撃的な描写があるため、読後の感想を自由に話せる場を作る。
気持ちが沈む子もいるかもしれないので、話し合いやフォローの時間を十分に確保するなどのケアまで考えておきましょう。
多様な視点をもてるようにする
ただ「戦争は悲しいこと」、「戦争は許せないこと」と教えるのではなく、「なぜ戦争が起きるのか」、「平和を守るために何ができるか」など、広い視点を持たせるとより学習につながります。
今回は短編集ではなく、1つの物語ですので、読書力がある子におすすめするといいですね。
大人が読んでも4時間。
子どもなら1週間かけたら読めます。
記憶と継承
「かげふみ」の特性として、子どもの世代が過去を知る物語であることに着目しましょう。
朽木祥さんの作品から感じるのは、「記憶」と「継承」。
「記憶の継承」「見えないものを受け取る」という哲学的な深みが出るでしょう。
題名のなぞ
なぜ「かげふみ」なのでしょう。
結局、「かげふみ」はしていない。石けりならしていた。
確かにかげについての文は中心であったが、かげでも良いかもしれない。
すみちゃんが、かげふみがしたかったけれど、なぜかげふみかというと、遊びたかったから?
たくみくんと、遊べたから満足したのか。そして成仏したのか。
なぜりょうくんは冷静?
りょうくんは少なくとも、少しは驚いていいのでは?
すました人物なのか、他にもみた人がいたのか。
おはぎの歌
おはぎの歌を通して、現実と過去がつながる。作中、歌っていたおはぎの歌は、見事です。
「おはぎの歌」が作中で果たしている役割を、子どもたちの感性にどうつなげるか。
リズムや歌詞を使った活動も効果的です。
実際に曲として再現したり、子どもたちが替え歌を作るのもおもしろいかもしれませんね。
まとめ
今回は、「かげふみ」の教材性についてでした。
- 子どもたちに読ませる教材にする価値がある
- 事前の知識や実態の確認が必要
- 心理的サポートが必要

「かげふみ」は教材というものより、純粋に本として面白いので子どもたちに読んで欲しいです。 読んだら感想聞かせてねと子どもたちに話してみてください。 それでは。
参考サイト
