「モチモチの木」の指導方法

モチモチの木の指導方法 国語
えびす
えびす

こんにちは。モチモチの木の指導方法について質問です。この作品は、豆太がじさまを助けるために勇気をふりしぼったということを読みとることができればよいのでしょうか。

 

こんにちは。授業前にしっかり読み込んでいらっしゃるんですね。豆太の駆け降りるシーンは素晴らしいですよね。そうですね、その心情の変化を読みとれるといいですね。

えびす
えびす

他にどんなところを指導すればよいのでしょうか。

そうですね。間違いがないのは、現行の学習指導要領に書かれてある内容をしっかり読んでもらって、子供たちに力をつけたらよいでしょうね。解説します。

 

今回は、「モチモチの木」の指導方です。

 

 

3年生を担任に持たれた方は、ほとんどの場合、指導された経験があるのではないでしょうか。

 

 

改めて「モチモチの木」の指導方法を考察したい方、

 

 

「モチモチの木」で物語文の教材研究をしたい方、

 

 

これから、初めて「モチモチの木」を指導される方向けに記事をまとめてみました。

 

 

 

「モチモチの木」の指導方法

 

「モチモチの木」の作者

モチモチの木の作者は、斎藤隆介。1917年、東京生まれの絵本作家です。

 

 

作風として、次のように載っています。

 

 

単純で骨太な展開、生と死のはざまで揺れ動く主人公を描くことで、人間が根源的にもっている情念・情愛からほとばしる生への尽きぬエネルギーに満ちあふれている。

 

一方、献身、自己犠牲といった説話くさい主題、表現で、発表当初から賛否両論を巻き起こしたものの、戦後の児童文学史上、童話および絵本の新分野を開拓し、民話絵本のブームを起こし、小学校の教科書にも取り上げられ、数々の業績を残した。

 

 

作品を読んで、「生きる」という活動に、ものすごいエネルギーを感じられる作品ばかりなのではないでしょうか。

 

 

 

1971年11月、54歳のときに「モチモチの木」は出されました。

 

 

 

小松
小松

54歳の方の作品とは驚きですよね。

 

「モチモチの木」とは

 

「モチモチの木」とは、赤い実がつくモチノキ科の木ではありません。作中にありますように、トチの木のことです。

 

 

 

トチの木には、以下の特徴があります。

 

 

  • 落葉性の広葉樹
  • 樹高25mで、幹の太さが1mにもなるものがある
  • 木の幹は、まっすぐ伸びず、曲がりがある
  • トチの実は、ドングリと同様に非常食として食されていた
  • 葉は大きく、サツマイモが連なっているように垂れている

 

 

 落葉樹なので、冬は、葉が無く、枝だけがあります。

 

 

 樹は、まっすぐ伸びないため、曲がりくねった特徴のある幹となっています。

 

 

題名になっているくらいですから、これらの樹の情報は重要ですね。

 

葉は、大きく垂れ下がる特徴があります。

 

 

  

なぜ、豆太はトチの木を、モチモチの木と読んでいたかは、文中からはわかりません。

 

 

しかし、まっすぐ立たない大きな木や、垂れ下がっている葉を見ると、少し恐ろしいものを想像してしまう気持ちはわかります。 

 

 

さらに、夜ともなると一層恐ろしいでしょう。

 

  

 

ここは、写真などを見せて、昼の豆太の気持ち、夜の豆太の気持ちを想像させると読みが広がりそうですね。

 

指導の目標

 

 

この教材の目標は何でしょうか。学習指導要領(平成28年)には次のように載っています。

 

 

中学年 読むこと 目標

目的に応じ内容の中心をとらえたり段落相互の関係を考えたりしながら

読む能力を身に付けさせるとともに,幅広く読書しようとする態度を育てる。

 

 

ここでは、ざっくりとしか書いていないので、簡単にとらえます。

 

 

読む能力をつけることと、幅広い種類の本を読ませるように仕組むことが目標のようです。指導事項を読んでみましょう。 

 

  

 

 

 

ここでは、しぼって読む能力の方でよいでしょう。

 

 

指導事項

(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
 

ウ 場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基に想像して読むこと。
 

 

 

今回は、ウ が当てはまりそうです。他のところは、補助的な目標としておき、この教材では、指導事項の「ウ」が中心になります。解説では、次のように詳しく書かれています。

  

 

ウ 「文学的な文章の解釈に関する指導事項」


低学年の「ウ 場面の様子について,登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むこと。」を受けて,物語の場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格気持ちの変化情景などについて想像して読むことを示している。

 

 

 
「場面の移り変わりに注意しながら」読むとは,各場面の様子に気を付けながら場面と場面とを関係付けて読むことである。

 

 

「登場人物の性格や気持ちの変化,情景など」について読むとは,各場面を構成する要素である登場人物の行動や会話に即しながら,それぞれの登場人物の性格を押さえ,登場人物同士がどのような関係にあるか,物語の上でどのような役割を担っているかなどを考えながら,それらの人物像を中核に読むことである。

 

 

 

〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕(1)イの「(ア) 言葉には,考えたことや思ったことを表す働きがあることに気付くこと。」と関連付けて,登場人物の気持ちをとらえることが大切である。

 

 
「叙述を基に想像して読むこと」とは,フィクション(虚構)による世界が描かれている物語や詩の描写を,想像力を働かせながら読むことである。叙述を基に,それぞれの登場人物の性格や境遇,状況を把握し,場面や情景の移り変わりとともに変化する気持ちについて,地の文や行動,会話などから関連的にとらえていくようにすることが必要となる。

  

 

その際,自分を取り巻く現実や経験と照らし合わせて物語の世界を豊かにかつ具体的に感じ取ったり,そこから感じ取った感想や感動を大切にしたりすることが必要である。

 

平成28年小学校学習指導要領国語編解説 中学年 読むこと ウ 文学的な文章の解釈に関する指導事項

 

上の内容を、授業の内容でまとめると次のようになります。

  

 

「モチモチの木」の最低限の活動目標
  1. 初発の感想を交流し、単元の目標を設定する。
  2. 登場人物の性格をとらえる
  3. 場面ごとの気持ちの変化を地の文、行動、会話から読みとる
  4. 情景について考える
  5. 感想を伝え合う

 

 

 

 

えびす
えびす

こんなにも活動して大丈夫なのでしょうか。何回か細かく読んで感想を交流するだけで良い気がするのですが…。

 

  

なるほどですね。でも、これらは、子どもたちのこれから生きていく上で必要な力です。目標の価値について解説します。

 

 

今回の指導の目標の価値は、次の5つと考えます。

 

目標の価値
  1. 人に対する見方を育てる
  2. 文から読んで想像する力を育てる
  3. 気持ちを表す表現を知る
  4. 情景描写という表現を知る
  5. 伝え合う力を育てる

 

 

「人に対する見方」とは、生きている中で出会う人の捉え方です。子どもたちは、身の回りの人について、「優しい人」、「怖い人」などと一面的にとらえてしまいがちでいます

 

 

しかし、学んでいくと、「怖いけど、優しい時もある人」や、「いつもすごくて近寄りがたいけれど、おっちょこちょいなところがある人」などと、多面的に見ることができるようになります。

 

 

だから、豆太に対しても、「怖がりだけど、勇気がある人」や、「いじわるなところがあるけれど、やさしい人」と子どもたちに出させたいですね。

 

 

これが、後のごんを「いたずら好きだけど、さみしがりや」などと人物を捉える力につながります。

 

 

「文から読んで想像する力」は、文字通り、文から内容や場面を想像する力です。

 

 

想像することが困難な子以外は、文の世界に入り込んで、その場面を仮体験するという経験を積むことができます。

 

 

仮体験をすることによって、現実で起こることに対しての考えをもつことができます。そのためには、文を読んで想像していくことが大切です。

 

 

「気持ちを表す言葉が増える」というのは、豆太の気持ちを言葉に表すことによって、読み手自身の気持ちの変化を表す語彙が増えていくということです。

 

 

「こわいけれど、じさまを助けなきゃ。」などと、単純ではない気持ちを表現できるようになることは、自分や他人を理解する上で大切なことです。

 

 

「情景描写」を知るとは、人物の心情が風景に表れることがあるということです。ドラマでも悲しい時は、雨。嬉しい時は、快晴などの情景描写が表れます。

 

 

そこで、モチモチの木の表現が人物のどんな心情を表すのかを話し合わせることも必要です。

 

 

最後に、感想を言い合うことですが、これも生きていく上で大切です。子どもたちは、ただ自分が話したいことを話して、人を傷つけてしまうということがよくあります。

 

 

これは、聴き手を意識して話し合うことができていないからです。授業をみていて、自分のことだけを言って、満足して交流を終わってしまうという交流を幾度となく見たことがあります。

 

 

自分の意見を聞くのも大切ですが、相手が話しやすいように聴くというスキルもしっかり身に付けないといけません。

 

 

聴いているときに、うなずきながら、想像して、自分の意見と比べながら考えをつくることを意識できると良いですね。

 

 

指導方法

  

目標に従って、活動を組んでいってもいいですが、子どもの実態と思考の流れをしっかり汲んで、学習の方法や形態を考えましょう。

 

 

ノート等はできあがり次第載せていきます。

  

指導① 初読の感想を交流する

 

登場人物の設定をおさえる。登場人物はだれで、中心人物の上には◎を書かせるとよいでしょう。

 

 

「どんな話か」であらすじを要約する力を育てます。だれが、どうして、どうなった話かと観点を決めてまとめさせると良いでしょう。

 

 

 

最後に思ったことを、書いて交流することで、語彙を増やすことができます。3年生で期待できる語彙は少ないと思われます。

 

 

「すごいと思った。」

 

 

「かっこいいと思った。」

 

 

「やさしいと思った。」

 

 

思ったことを伝えられるようになるだけで、人生はより豊かになることができます。 

  

  

めあてには、「初めて読んだ感想を交流しよう。」

 

 

まとめには、「初めて読んだ感想を交流することができた。」

 

 

など簡単にしてもよいと思います。

 

 

さらによりよく育てたい場合は、それぞれに考えられてつけられてください。

 

 

 

 

あくまでも最低限授業を流すこと前提で書いています。批判されたい方はお許しください。

 

指導② あらすじをとらえる

 場面ごとのあらすじをとらえさせましょう。

 

 ※ノートは後日掲載 

 

指導③ 登場人物の性格を読みとる

登場人物の性格を読みとりましょう。

 

 

登場人物は、どのような人か。教科書の巻末にある資料から「〇〇な人」という形式でとらえさせます。

 

 

 

指導④ 出来事の前後で何が変わったのかを交流する

豆太が

「いつ」、

「どのような理由」で、

「どう変化したのか」、

を交流出来たら良いですね。

 

※ ノートは後日掲載

 

指導⑤ 豆太について感想を交流する

豆太について、どう思うか話し合う。

 

 

豆太について考えを書かせ、交流することで、人への見方を考えさせてほしいと思います。

 

読みを深める

 

子どもたちの思考の流れによっては、以下のような活動や発問を入れてもよいです。

 

・じさまの言葉「人間、やさしささえあれば、やらなきゃならねえことは、きっとやるもんだ。」の意味は?

・父と豆太のにているところはどこか?

豆太とお医者の見た木は同じかどうか?

・将来は、お父やじさまのように、勇気のある人になれると思うか?

 

 

授業の中の発問や、単元の問いとして扱ってもよいかもしれませんね。

まとめ

 今回は、「モチモチの木」の指導方法でした。豆太という登場人物を読むことを通して、子供たちの中で、人を多面的に見る力や、将来の可能性を信じる力も育ててほしいと思います。

 

 

 私も、少し苦手な相手にも「あの人は○○だけど、△△の一面もあるよね。」と良いところを見つめられる人になれるように努力していきます。 

 

 

 





それが子どもたちの幸せにつながりそうですね。それでは。

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